日本では働き方の多様化により、副業を始める方が増えてきています。副業をすることで普段の給料よりも多くの収入を得られたり、さまざまなことに挑戦することでスキルアップを図れたりと幅広いメリットがあります。
しかし、企業の中には副業を認めていないところも多く、せっかく取り組もうと思っていても始められないと悩んでいる方も多いでしょう。
副業を安全に始めるためには、できる限り勤めている会社からの許可をもらうことが最も安心できる方法ですが、中には副業をばれずにできる方法を探している方もいるでしょう。
今回は、そもそも副業はなぜばれるのかについてと、ばれた場合の具体的な処分内容、ばれないための具体的な方法について紹介するので参考にしてみてください。
副業をする人が増えている背景
日本では従来まで、副業をすることに関してポジティブなイメージがあまりありませんでした。実際に企業の多くが副業を禁止しているところもあったりと、やりたくてもできない環境が作られていたのです。
しかし、近年では副業OKの企業も増えており、実際に会社員の中でも本業とは別の仕事に取り組むケースも増えています。
ここではなぜ、副業に取り組む人が増え始めているのか背景について紹介していきます。
厚生労働省が副業を勧めている
厚生労働省では働き方改革の影響などもあり、副業や兼業の普及促進を図っています。実際に厚生労働省の公式サイトをチェックすると、副業の促進に関するガイドラインが掲載されており、そこには副業のメリットや必要性など、企業が認めるよう促す内容が書かれています。
このように厚生労働省から声をあげることで、企業としても認めざるを得ない環境となり、実際に企業によっては禁止をしていたところから認めるようになったところも増えています。
収入が増えるから
海外に比べると日本は一向に賃金が上がらないことが問題となっています。ここ最近では賃上げを表明する企業は増えていますが、物価なども上昇していることから実質賃金は下がっている傾向にあります。
このような背景があり、今の給料ではなかなか生活することが難しいと感じている方が多く、少しでも収入アップを目指すために副業に取り組む人たちも少なくありません。
会社員でも気軽に始められる副業が増えている
先ほどは収入がアップすることが理由で副業を始める人が増えていると話しましたが、気軽に始められる副業が多いことも始めようとする人が増えている理由の一つです。
従来はデジタル化が進んでいなかったことから、副業を始めるにしてもアルバイトをするなどどこかに勤めなければなりませんでした。
しかし、今ではネット環境があればどこでも副業に取り組める環境が整っています。実際にクラウドソーシングなどでは幅広い案件が掲載されており、初心者でもパソコンがあれば収入を得られる仕組みができているのです。
副業をする人が増えている背景にはさまざまな内容があげられますが、主にここで紹介した3つの内容が副業が増えた大きな要因となっています。
そもそもなぜ副業がばれる?
副業に対する注目度が高まっている今、「私も副業に取り組みたい!」と考えている方が多いでしょう。
しかし、誰でも気軽に始められるかというとそうではなく、やはりそれぞれが勤めている会社のルールに従うことが一番安全です。
実際に何も知らない人が副業を開始し、勤めている会社からばれてしまって処分を受けたというケースも耳にします。
「副業は始めてみたいけど、できれば面倒な問題には巻き込まれたくない」と考えている方が多いと思うので、ここではそもそも副業がばれてしまう理由とは?について紹介します。
住民税が高くなってばれる
企業が支払っている給与は、毎年1月末までに前年の給与支払報告書を自治体に提出します。その内容をもとに自治体が給与収入を合算して住民税の計算を行い、自治体が企業に報告したのちに企業が住民税の天引きを行う流れとなります。
上記の流れで住民税が決定しますが、給与所得が大きく変わっていないにもかかわらず住民税が上がってしまうと、企業としては「他にも収入があるのでは?」と疑わざるを得なくなってしまうのです。
副業をすることで収入が上がってしまうため、ばれてしまうのは「避けられないのでは?」と思う方も多いでしょう。
しかし、後述しますが確定申告の提出を工夫することで会社にばれずに副業を行うことが可能です。ただ単に副業の収入を確定申告するだけではばれてしまうので注意しましょう。
社会保険の変化でばれる
社会保険については、副業がパートやアルバイト等であり、その会社でも社会保険に加入することでばれる可能性があります。
実際に2ヶ所で社会保険に加入すると、本業の会社に「健康保険・厚生年金保険資格取得確認、二以上事業所勤務被保険者及び標準報酬決定通知書」といった通知書が送られてきます。
上記の通知書が本業の会社に送られることで、アルバイト先やパート先なども詳細に記載され、副収入がばれてしまう流れとなってしまいます。
副業で時間が空いた時だけ働く程度の場合は社会保険に加入することはないので、それほど神経質になる必要はありません。しかし、ガッツリと働こうと考えている人は社会保険でばれる可能性があるので注意しましょう。
社会保険でばれる場合に関しては、副業の内容等によっても異なります。そのため、どのような副業を検討しているのか、その仕事を始めるうえで社会保険の加入は必要になるのかなど事前に検討してから取り組むことが大切です。
年末調整でばれる
年末調整で副業がばれてしまう原因としては、主に2つの内容があげられます。
まず1つは年末調整で所得控除の金額を間違えてしまい、確定申告の際にそれを上回る所得控除を記載して提出してしまうことです。この失敗をしてしまうと副業の住民税の普通徴収が行えなくなるため、副業が会社にばれてしまう流れとなります。
2つ目は配偶者控除等申告書を記載する際に「違法な還付を受ける」か「正直に副業の事業所得や不動産所得を記載して会社に提出する」か悩み、どちらも正直に記載して会社に提出してしまうことです。正直に提出することでもちろん本業の会社にはばれてしまう流れとなりますので注意しましょう。
上記2つの内容についてが年末調整で副業がばれてしまう原因となりますが、どちらも必ずしも逃れられない問題ではありません。しっかりと対策をすることで会社にばれずに副業を行うことができるでしょう。
特定される情報を話したりSNSに投稿する
近年ではインターネットの普及により、誰でも簡単に情報を発信できる世の中になりました。最も手軽に情報を発信できるものとしてはSNSなどがあげられるでしょう。
副業を行うにあたって会社にばれたくないと思っているのであれば、SNSなどへの投稿も注意した方が安全です。
SNSは鍵アカウントにしたとしても身近な人でお互いにフォローをしていれば内容をチェックすることができますし、鍵アカウントでなければすべてのユーザーが内容を見ることが可能になります。
「これくらい誰も見ていないから大丈夫だろう」と投稿してしまうと、会社の人間が見てしまって副業がばれるケースも少なくありません。
特に副業が禁止されている会社では監視の目も厳しくなり、同僚で仲の良い相手でも上司に報告されることがあります。
これらのことから、特に不特定多数の人がチェックできるSNSへの投稿は避けるべきです。もし、情報を発信したいと考えているならニックネームやハンドルネームなどにして誰からも特定されないことを確認してから発信しましょう。
副業がばれるとどうなる?
副業はそもそも法律で禁止されているものではありません。企業によって自主的に禁止しているものであるため、ばれたからといって解雇されるような重い処分はほとんどないでしょう。
しかし、面倒なことになるのは事実であり、具体的に下記のような問題が発生することもあるので注意してください。
詳細な説明をするよう会社から求められるケースも
会社に副業がばれてしまうと、禁止しているのであれば高い確率で注意されるでしょう。
また、注意だけではなく、詳細な情報の説明を求められるケースもあります。具体的には副業の仕事内容や、なぜ副業に手を出しているのかなどプライベートなことまで聞かれてしまう可能性が高いでしょう。
世の中には話しにくい事情を抱えているケースもあり、できる限りプライベートな内容は話したくないと思われている方も多いため、ばれるリスクを少しでも減らすためには対策をしてから始めるのがおすすめです。
企業によっては処分されるケースも
副業に対して厳しい企業であれば、さらに重い処分を下される可能性もあるので注意しましょう。具体的には下記のような処分が下されることがあります。
- 数ヶ月分の給料が減らされる
- 出勤停止や自宅待機など仕事ができなくなる
- 降格処分により今まで積み上げてきたものがなくなる
少し大袈裟な内容ではありますが、実際に副業に厳しい企業は重い処分を下すケースがあります。
そのため、あまりにも厳しい企業では事前に副業を始める旨を伝えることが一番安全な方法でしょう。もし、会社に言わずに副業を始めたいのであればできる限りの対策をしてばれないようにすることが大切です。
副業がばれない具体的な方法とは?
副業は本来、後ろめたい気持ちなく堂々と働けるような環境になるのがベストですが、やはりまだまだ副業を認めている企業は少ないのが現状です。
中には禁止している企業もあるため、こういった会社に勤めている方はばれないための対策をしなければなりません。
ここでは副業がばれない方法について、具体的で現実的な内容を紹介するので参考にしてみてください。
普通徴収を選択しよう
副業がばれない対策として、多くの方が行っているのが住民税を普通徴収扱いに切り替えることです。
通常であれば特別徴収となっていますが、特別徴収は給料から毎月税金が支払われる方法です。そのため、特別徴収扱いのままにすることで本業の給料と副業の給料が合算されてばれてしまいます。
しかし、普通徴収であれば税金を自分で支払うこととなりますので、副業が会社にばれてしまうことはありません。
ただし、注意点としては副業で確定申告をするケースのみが対象な方法だという点です。
例えば副業にパートやアルバイトのような給与所得の仕事を選んでしまうと、この対策方法は使うことができません。給与明細が発行されるような副業は本業の会社に情報が筒抜け状態となるため、すぐにばれてしまう危険性が高くなるのです。
普通徴収はあくまでも20万円以上の副収入があり、尚且つ確定申告をする人が対象となりますので、確定申告をするケースのみ対象であることを把握しておきましょう。
現金手渡しか給料扱いではない副業を選ぶ
先ほどは、給与所得のあるパートやアルバイトは確定申告をする必要がないため、副業がばれやすくなると話しました。
パートやアルバイトの仕事は全てがばれてしまうのかというとそうではありません。ばれない方法としては、事業所得または雑所得、現金手渡しのアルバイトを選択することです。
給与所得でなければ企業側は源泉徴収義務を負いませんし、現金手渡しであれば銀行口座にも履歴が残ることはありません。
つまり、アルバイトであっても外注費扱いしてもらうことが可能であるため、確定申告の際に普通徴収を選択することでばれる可能性が低くなるといった仕組みです。
パートやアルバイトで副業をしているかばれないためには上記で紹介したような対策を取ることで会社に知られる危険性を大幅に減らせるでしょう。
副業について周りに話さない
会社に副業がばれない方法として、最も簡単にできる方法は自分の口から周りに話さないことです。
どれだけ確定申告の際に対策をしていたとしても、自分の口から話してしまうと高い確率で会社に知られてしまいます。
また、どれだけ信用している同僚だったとしても話すことはやめた方がいいでしょう。なぜなら収入が多くなればなるほど周りの人間から嫉妬心が生まれ、上司に報告しようといった気持ちになります。
副業は同僚や知人でも話した時点でバレてしまうリスクが高まることを頭に入れておき、最新の注意を払うようにしましょう。
ふるさと納税をしない
副業をしている方の話を聞くと、ふるさと納税が原因で会社にばれてしまったといった内容をよく聞きます。
そもそもふるさと納税で副業がばれる仕組みはどういった内容があげられるのでしょうか。
実は、ふるさと納税をした場合には「寄附金控除」という所得控除の適用を受けて所得税と住民税を減税することができますが、これが原因で副業がばれてしまうことがあるのです。
ふるさと納税をすると、その住民税の減税額を副業の住民税額から優先的に控除する役所が多くあります。その場合において副業の住民税を、ふるさと納税による減税額を超えると副業の住民税が消えるといった流れになります。
そのような状態となると、普通徴収税額がないこととなるため、普通徴収ができなくなって副業がばれてしまうのです。
これらのケースで副業がばれる危険性があるため、これから副業に取り組む方でよくふるさと納税をしているなら、今後はやらないように注意した方がいいでしょう。
クラウドワークスを活用する
数ある副業の中でも最も会社にばれない方法として知られているのがクラウドワークスです。
なぜ、クラウドワークスが会社にばれないかというと、基本的には報酬扱いとなり、誰かに雇用されて働くわけではないからです。
クラウドワークスはあくまでもクライアントから発注の依頼を受け、外注先として仕事を受ける状態になります。
つまり、クラウドワークスであれば自分の事業を行うこととなり、確定申告でも住民税に関しては普通徴収を選択することが可能です。
仕事の種類も幅広くあるため、パートやアルバイトと比べてもばれるリスクは低いと言えるでしょう。
近年ではクラウドワークスのような企業や個人から仕事の発注を受け、外注先として仕事を受けられるサービスが増えていますので、副業でばれない方法を探している方は、こういったクラウドソーシングなどを活用するのもおすすめです。
会社にばれにくい副業の種類
会社にばれやすい副業の種類としては、やはり給与所得となるパートやアルバイトなどがあげられるでしょう。
では、逆に会社にばれにくい副業の種類はどのようなものがあげられるのでしょうか。ここでは具体的な種類について紹介するので、これから何を始めるか決めるという方は参考にしてみてください。
在宅ワークでできるものを選ぶ
在宅ワークでできる副業は、そもそも外に出ることがないため他の人に見つかるリスクがゼロです。副業は言わなくても同僚に見つかってしまうことで発覚するケースもあります。
そのため、ばれないことを大前提として考えるなら在宅ワークでできる副業を選択するといいでしょう。
また、在宅ワークでも雑所得として申告できないものは避けましょう。具体的には給与所得となる内職などは在宅でできたとしても確定申告ができないため、会社にばれてしまうリスクが高まります。
できれば先ほども紹介したように、クラウドワークスなどを活用して雑所得として申告できる副業の選択がおすすめです。
パソコンもしくはスマホを活用した副業
副業を始めたいけど、どのような仕事を選べばいいかわからない方は、パソコンもしくはスマホを活用した内容がおすすめです。
パソコンやスマホでできる副業は在宅でできるものが多く、普通徴収も選べるので会社にもばれにくい特徴があります。
専門的な案件は省き、初心者でもできる副業として下記の仕事がありますので、ぜひ検討してみてください。
- Webライター
- SNS運用代行
- 美容モニター
- タスク案件(アンケートに回答など)
- ネットショップ代行
- スキル販売など
上記の内容であれば会社に副業がばれるリスクは極めて低いため、興味がある方は試してみてはいかがでしょうか。
副業するなら知っておきたい確定申告の話
副業を始めてみたいけど、そもそも確定申告をしたことがないという方も多いでしょう。ここでは副業を始めるにあたって知っておきたい確定申告の話について紹介します。
どのようなケースで確定申告が必要になるのか、重要なポイントなどを重点的に話しているので、ぜひ参考にしてみてください。
副業収入20万円超えなら確定申告を必ずする
まず、知っておきたいポイントとして、そもそも副業の収入が20万円以下なら申告する義務はありません。あくまでも副業収入が20万円以上ある方が確定申告をする義務があります。
また、20万円以上の収入があるケースでは、「給与所得」か「雑所得」かでも確定申告における方法が変わるため、注意しなければなりません。それぞれのケースで行う確定申告については、下記で説明しているので参考にしてみてください。
副業の収入が「給与所得」のケース
副業の収入が給与所得の場合、基本的に所得税が源泉徴収されているケースがほとんどです。
源泉徴収は支払いを受けた会社が発行する支払調書の「支払金額」の横に「源泉徴収」が記載されており、徴収された税金は必要経費を控除する前の支払額をもとに計算されますので、申告することで僅かではありますが税金が還付されることがあります。
ここまで給与所得のケースについて紹介しましたが、基本的に雇っている企業側が対応することがほとんどなので、給与所得の場合は確定申告をしなくて済むことが多いです。
ただし、給与所得は先ほども紹介している通り、副業が会社にバレてしまうケースがあるため注意が必要です。
副業の収入が「雑所得」のケース
副業を始める方のほとんどがこの「雑所得」の部分になります。「雑所得」では、給与所得とは異なり必要経費が認められます。経費はその名の通り、収入を得るためにかかった経費を差し引くことができるものです。
必要経費によって所得を減らすことができれば税金を安く済ませることもできるため、必要経費を差し引きながら正しい確定申告を行いましょう。
また、この経費を収入から差し引くことで収入が20万円以下になることもあります。このケースでは20万円以下となりますので、確定申告は行う必要がありません。
しかし、すでに源泉徴収されているケースでは、20万円以下でも確定申告をする方が無難と言われています。20万円以下の場合は個人の判断にもなりますので、確定申告をする際には調べながら正しく行うようにしましょう。
確定申告の住民税の欄には注意しよう
会社に副業がばれるケースとして最も多いのが住民税の部分です。会社員としての給与所得が上がっていないにも関わらず、住民税が高くなると会社から疑われてしまうと話しましたが、それを防ぐためには普通徴収を選択するしかありません。
普通徴収のやり方としては、「確定申告書第二表」の住民税の欄に記載されている「特別徴収」と「自分で納付」の二つの項目がありますので、「自分で納付」を選択するようにしてください。
確定申告書第二表の住民税の欄を拡大した画像が下記の通りです。
- 国税庁公式サイト:所得税及び復興特別所得税 申告書B
上記画像の赤い四角で囲っている「自分で納付」に丸をつけることで普通徴収へと切り替えることができます。
このような簡単な対策方法で副業がばれにくくなりますので、ぜひ試してみてください。
まとめ
今回は副業が会社にばれない方法を中心に紹介しました。副業は厚生労働省でも推奨されるようになり、企業も認めているところが増えていますが、まだまだ禁止している企業が多いのも事実です。
このような環境でも副業を開始したい方は、今回紹介した対策方法などもお試しください。実際に対策している人は副業が会社にばれてしまうケースが少なくなっています。
副業はばれても違法ではありませんが、何かと面倒な手間が必要になったり、企業によっては処分を下すところもあるため、しっかりと対策したうえで取り組むようにしましょう。