ビジネスシーンにおける名刺の役割は、デジタル化が進む今でも変わらず重要です。
Sansan株式会社の調査によると、コロナ禍でオンラインの商談や会議が普及しても、名刺の文化は継続すると考えるビジネスパーソンは60.9%ほどとなっています。
依然として、名刺文化が続くことは想定できるため、名刺交換のマナーを理解し、適切に行うことは、ビジネスで初めて対面するときの印象を高める上で今後も重要となるでしょう。
この記事では、基本的なビジネスマナーとしての名刺交換のやり方を紹介していきます。また、Web会議上でデジタル名刺を交換する機会も増えてきているので、デジタル名刺の交換の仕方についても触れていきます。
まだまだ、名刺の重要性はビジネスの機会を広げるために必要なツールですので、しっかりとしたマナーを身に着けましょう。
名刺交換の正しいやり方
それでは、早速、名刺交換の正しいやり方を見ていきましょう。
名刺の準備
まず、汚れのない、キレイで、内容の新しい名刺を準備しましょう。名刺は、ビジネスで初めて顔を合わせる人に渡すものなので、自分自身と会社を代表するアイテムと言えます。
私生活でも汚れているものを初めて会う人に手渡されるのは誰でも気分を悪くするのではないでしょうか?それは、ビジネスでも当然同じように相手に悪い印象を与えてしまいます。
そして、最新の情報が書かれている名刺を準備してください。名刺に書かれている電話番号やメールアドレス宛に連絡をすることになりますので、情報が古ければ、せっかく名刺交換をしても連絡手段が無くなってしまいます。
そのため、必ず、商談前にキレイな状態で、情報が最新の名刺を用意しましょう。
名刺を渡す
名刺は、内容が読みやすいように配慮し、相手側に名刺の向きを向けて、両手で丁寧に渡しましょう。
手渡す際には、簡単な自己紹介をはっきりとした声で伝えましょう。
「初めまして、〇〇株式会社 △△△部の山田 太郎です。」
名刺を受け取る
名刺を受け取る際も、両手でしっかりと受け取りましょう。相手があいさつをしているときにはしっかりと相手の目を見て、その後、名刺にも目を通し、相手の名前や役職を確認してください。
名刺は相手の分身とも言えるため、適切な敬意を示すことが重要です。下記のように、短い感謝の言葉を添えるとより丁寧な印象となるでしょう。
「山田 花子様ですね、ありがとうございます。頂戴いたします。」
名刺を交換した後
名刺を交換した後は、相手の名刺を大切に扱いましょう。
受け取った後、すぐに名刺入れにしまうのではなく、商談中はテーブルに並べておくようにしましょう。
会議や商談が終わるまで名刺を見えるところに置いておくと、相手への敬意を示すことができます。
【名刺交換をスムーズに行うためのポイント】
◎商談の前に人数分の名刺を名刺入れの間に挟んでおく
名刺交換をスムーズに行うために、
商談や会議に向かう前には、参加人数分の名刺をあらかじめ名刺入れに用意しておくと良いでしょう。
商談や会議の日程調整をするときに、参加人数や参加者を聞いておくことで、名刺の準備も事前にできます。
名刺交換がスムーズに進行できることで、本来の商談にかける時間を多めに割くことができるはずです。スマートな事前準備を行いましょう。
名刺交換する時のビジネスマナー
ここまでは、基本的な名刺交換の流れを紹介しましたが、この段落では、名刺交換をするときの基本的なマナーを解説します。
名刺交換をする順番
立場が下の人から上の人へ渡す
一般的に、名刺交換は立場が下の人から上の人へと行います。
このとき、名刺は受け取る人が読みやすいように、自分の名前が下に来るようにして渡すことがマナーです。
たとえば、部下が上司に、あるいは新入社員が先輩社員に名刺を渡す際は、この点に注意しましょう。
複数人で訪問する場合は上司から先に名刺交換する
複数人での訪問時は、最も立場が高い人から名刺を交換します。
例えば、ある企業の部長と担当者が顧客訪問をする場合、部長が最初に名刺を交換し、その後に担当者が続きます。
これにより、訪問先での役職や立場の階層を明確に伝えることができます。
訪問先の相手に先に渡された場合の対処
訪問先の相手から先に名刺が渡された場合は、その名刺を受け取りながら自分の名刺も同時に渡しましょう。
このときは両手での受け渡しができないので、左手で相手の名刺を受け取りつつ、右手で自身の名刺を手渡す形で問題ありません。
片手で受け取ったとしても、相手の名刺を丁寧に扱い、一度目を通すようにしましょう。
名刺の並べ方
名刺交換をしたあと、受け取った名刺はすぐにしまわずに商談が終わるまで並べて置くように先ほど説明しました。
名刺を並べる際にもマナーがあるので、並べ方についても気を配るようにしましょう。具体的なマナーを紹介します。
役職が一番高い方の名刺を名刺入れの上に置く
受け取った名刺の中で、役職が最も高い方の名刺を名刺入れの上に置くことが一般的です。
例えば、商談や会議において、相手方の部長、課長、担当者の順で名刺を受け取った場合は、部長の名刺を名刺入れの上に置きましょう。
座席順にあわせて並べる
また、商談や会議では、座席順に合わせて名刺をテーブル上に並べて置きましょう。
席順に合わせて並べることで、話をする際に相手の名前や役職を確認しやすくなり、スムーズにコミュニケーションができます。
名刺をしまうタイミング
名刺交換の際には、名刺をしまうタイミングも重要なマナーですので覚えておきましょう。
商談が終わった後にしまうこと
名刺は商談や会議が終わるまで机の上に置いておくことがマナーです。名刺入れにはすぐにしまわないよう心掛けましょう。
相手がしまうのを確認してから、自身もしまうこと
また、商談や会議が終わったとき、相手が名刺をしまうのを見計らってから自分の名刺をしまうのが良いマナーです。相手に対して礼儀正しい印象を与えることができます。
名刺交換で間違えてしまいがちなNG行動
基本的な名刺交換のマナーを紹介してきましたが、ここでは、よく間違えてしまいがちな名刺交換でのNG行動を紹介していきます。
ここで紹介するNG行動は、本当に実際にやってしまいがちではあるので、実際にはやらないように気を付けましょう。
汚れた名刺、折れた名刺を渡す
名刺は、初めてビジネスで会う人に対して手渡す、自分自身や所属する企業のイメージを象徴するものです。
汚れたり、折れたりしている名刺を手渡されると、相手が抱くあなたへの印象は良いものとは言えないでしょう。そして、自己管理がなっていないという印象も与えかねません。
会議・商談前には、キレイな状態の名刺を持っているか確認するようにしましょう。
相手企業のロゴに指を置く
名刺交換をするときには、丁寧に扱うことと紹介してきましたが、相手企業のロゴや名前に指を置いてしまうと、相手に対して敬意が無いと受け取られかねません。
名刺を受け取るときには、名刺の端を持つように、注意深く丁寧に対応しましょう。
財布やジャケットの胸ポケットから名刺を出す
名刺を交換するときには、財布やジャケットの胸ポケットから直接名刺を取り出して渡すことは避けるべきです。
これはカジュアルな印象を与えてしまい、ビジネスマナーに欠ける行動と見なされます。そのため、名刺入れで管理し、名刺入れから出すようにしましょう。
名刺入れを持っていない
名刺入れを持たずに名刺交換を行うことは、ビジネスパーソンとして好ましくありません。
名刺入れはビジネスアクセサリーの一部として、いつも携帯しているべきアイテムです。名刺入れで名刺を補完することで、名刺をキレイなまま保ち、いつでも適切に交換ができるでしょう。
テーブル越しに名刺交換する
テーブル越しに名刺を渡す行為は、ビジネスマナーに反するとされています。そのため、可能であれば、立ち上がって直接名刺を交換することが理想的です。
デジタル名刺を交換する際のビジネスマナー・ポイント
デジタル化が進む中、Web会議が最初の商談となることも増えてきているでしょう。そのため、名刺交換もデジタル名刺で行う企業も増えてきています。
そのため、デジタル名刺を交換するときに気を付けたいポイントを紹介していきます。
名刺交換・自己紹介の時間を作る
会議が始まった際、参加者同士で自己紹介をするため、このタイミングでデジタル名刺の交換をしましょう。
参加している相手の顔と名前、担当内容を理解することで、会議の最中でのコミュニケーションをスムーズに進めることができるでしょう。
URLやQRコードの場合はクリック・読み取ってもらうよう促す
Web会議に表示される背景に、デジタル名刺のQRコードを貼り付けている人もいるでしょう。そんな方は、自己紹介の時間の時に、その旨を相手に伝えましょう。
デジタル名刺を使い慣れていない方が参加していたときのために、説明を入れることでより丁寧な印象を与えることができます。
例えば、「デジタル名刺はお持ちのケータイ電話からQRコードを読み取っていただければ、私の名刺をデータとして読み込むことができます。是非ご覧ください」といった一言を添えると親切でしょう。
有効期限がある場合は伝えておく
また、使用するデジタル名刺のツールや設定によっては、デジタル名刺に有効期限が設定している場合もあるでしょう。
そのことを補足していない場合、相手方が後日確認しようとした際に、アクセスできないということが出てしまうかもしれません。
有効期限が設定されていることを相手に伝えておくことで、このようなことは避けられますので、補足すると親切でしょう。
電話や対面でもフォローを入れる
デジタル名刺の交換後は、適宜相手方にフォローを入れることが望ましいです。
オンライン上であいさつしているとはいえ、実際に対面していないのであれば、相手に抱かせる印象は残らないでしょう。
ただのデータ交換で終わらせてしまっては、ビジネスチャンスを逃す可能性がありますので、適宜、電話や対面でのコミュニケーションも随時行いましょう。
全体のまとめ
この記事では、ビジネスマナーとしての名刺交換のやり方ややりがちなNG行動などを紹介してきました。
オンラインでのコミュニケーションが増え、対面での会議が少なくなってきているものの、重要なビジネスの局面では対面してコミュニケーションを取ることは必ず出てきます。
その時には、たとえデジタル名刺を交換していたとしても、紙の名刺を交換する文化は簡単には無くならないでしょう。
紙での名刺交換をするタイミングが、一番重要な商談であるということがいっそう増えていくはずです。
その時に、相手に対して失礼のないような対応ができるよう、名刺交換のビジネスマナーをしっかりと身に着け、相手に信頼されるビジネスパーソンを目指してください。