コミュニケーションで求められる「傾聴」とは?意味とその目的や身に着けるためのコツを紹介!

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ここ最近、よく「傾聴」という言葉を耳にすると思います。ただ、しっかりとした理解まではできていない人もいるでしょう。

この後にも説明しますが、傾聴とは、「相手をしっかりと聴き、その考えや心も理解し、共感すること」です。

この記事では、傾聴の概要を知りたい方に意味やその目的、傾聴を身に着けるためのコツを紹介していきます。読者の方に、傾聴の必要性を知ってもらうことで、良い人間関係を作っていくきっかけになれば幸いです。

傾聴力とは

ここでは、よく耳にする「傾聴」についての意味や他の言葉との違いについて説明していきます。

意味や求められる理由を知ることで、傾聴力の重要性に気付くことができるので、ぜひ理解してください。

「傾聴」の意味

「傾聴」は、相手の話を熱心に聞くことを指します。これは、耳だけでなく、相手の動きや表情を目で追い、相手が言葉にできない心までも理解することを含んでいます。

また、「傾聴」は、相手のいうことを否定せず、耳も心も傾けて、相手の話を「聴く」会話の技術を指すこともあります。

このように、「傾聴」は単に話を聞くだけでなく、相手を深く理解しようとする姿勢を表しています。

聞く・聴く・訊くとの違い

「傾聴」の意味を説明したところで、「聞く」「聴く」「訊く」という似た言葉の意味の違いも見ていきましょう。

それぞれの言葉の意味の違いをしっかりと理解することで、より傾聴が持つ意味を深く理解することができるはずです。

【聞く】

「聞く」は、「音・声を耳で感じ取ること」を意味します。例えば、「波の音を聞く」「風の音を聞く」のように、自然に耳に入ってくる音や、人の話しを聞く場面で使われます。

また、「親の言うことを聞く」のように、「人の言うことを理解して、受け入れる」という意味も含まれます。

【聴く】

「聴く」は、一般的に「注意して耳にとめる」ことを指します。つまり、音や話を意識的に耳に入れ、理解しようとする行為ですね。

さきほど説明した通り、「傾聴」には深い理解と共感を求める行為が含まれていますが、「聴く」にはそのような意味は含まれていません。

【訊く】

「訊く」は「尋ねる・問う」という意味です。「訊」という漢字には「問いただす。とがめたずねる」という意味を持っており、相手に質問すること・自分から尋ねることを表しています。

それぞれの言葉の意味合いやニュアンスが比較することでお分かりいただけたかと思います。

特に、「聴く」と「傾聴」の意味の違いを理解していないと使い方だけでなく、「傾聴」への誤解につながってしまいます。

改めて、それぞれの言葉の違いを理解しておきましょう。

傾聴力を身に着ける4つのメリット

ここでは、傾聴力を身に着けることのメリットを4つ紹介していきます。言葉の意味を理解していれば、身に着けるメリットもイメージできている読者の方もいるかと思いますが、紹介していきたいと思います。

  • 相手を深いレベルで理解できる
  • 相手とより良い人間関係を築くことができる
  • 自分の内面と対話し、自己理解につながる
  • 多くの情報を得ることができ、チャンスにつながる

相手を深いレベルで理解できる

傾聴力を身に着ける最大のメリットの1つは、相手をより深いレベルで理解することができるようになることです。

傾聴することで、相手は徐々に心を開いてくれて、信頼関係ができていないと話さないような一歩踏み込んだ話をしてくれるようになります。そのおかげで、相手の本音を知ることができるようになるはずです。

相手とより良い人間関係を築くことができる

さきほど説明した「相手を深いレベルで理解できる」ようになることで、より良い人間関係を築くことにつながっていきます。

特に、リーダーやマネージャーとしては、部下や周囲の人々との良好な人間関係を築くことが必要不可欠です。傾聴を通じて、より強いチームワークや協力関係が生まれるので、チームの目標を達成しやすくなるでしょう。

自分の内面と対話し、自己理解につながる

傾聴は、相手だけでなく、自分自身への理解も深めてくれます。相手の立場に立って話を聴くことで、自身の考えとは違う視点に気付くことができます。

「相手と自身との違う視点に気付く」というプロセスを通じて、自分の考えや感情についても深く掘り下げることになり、内省するようになります。

その結果、より客観的でバランスの取れた視点を持つことができ、自己認識と自己成長につながっていくでしょう。

多くの情報を得ることができ、チャンスにつながる

傾聴力を発揮できれば、相手との会話からこれまで以上の良い情報を得られるようになるでしょう。

これは相手に共感する姿勢を見せることで、自然と相手がいろいろな情報を話しやすい雰囲気を作ることができるためです。普段は引き出せなかった相手の想いを聴くことで、新しい機会や解決策を見つけ出すことにつながっていきます。

傾聴力を鍛えるときの8つのコツやテクニック

ここまでは傾聴力を身に着けることのメリットを紹介してきましたが、では、どうやって傾聴力を鍛えればいいのでしょうか。

ここでは、鍛えるときに役に立つコツやテクニックを8つ紹介します。

  • 相手の目を見て話す
  • 柔らかい表情を保つ
  • 共感や関心を表現する相槌を適度に打つ
  • 話を途中で遮らない
  • ミラーリング効果を使う
  • バックトラッキング
  • 相手の発言を言い換える
  • 質問するときは5W1Hを意識する

意識だけで簡単に試すことができるコツも紹介していますので、紹介する内容を少しずつ相手との会話の中で試してみてください。相手の反応が少しずつ変化していくことを感じられるはずです。

相手の目を見て話す

まず大前提として、相手の目を見て話すことが重要です。相手の目を見て話すことで、相手との会話に興味や関心を持っていることが伝わるはずです。

また、「目は口ほどに物を言う」ということわざにもある通り、目を見ることで、相手の感情や考えを理解しやすくなります。ノンバーバル・コミュニケーションの1つですが、意識的に取り入れましょう。

ただし、見つめすぎると不快感を与える可能性があるので、自然な目の動きを心がけましょう。

柔らかい表情を保つ

話を聞くときの表情もコミュニケーションにおいて大切です。柔らかく温和な表情は、相手に安心感を与え、心を開いてもらいやすくなるでしょう。

表情が硬かったり、無表情だと、相手に緊張感を与えてしまうので、意識的に笑顔を含めたり、柔らかい表情を保つことで相手を安心させてあげましょう。

共感や関心を表現する相槌を適度に打つ

相手の話を聞くときには、適度に「たしかに!」「そうだね!」「わかる!」など、共感していることや関心があることを示すような相槌を打つようにしましょう。これにより、相手の話を「理解しているよ」「関心があるよ」というメッセージを伝えることができます。

ただし、過度な相槌や不適切なタイミングでの相槌は逆効果になるので、自然で適切なタイミングで行いましょう。

話を途中で遮らない

相手の話を最後まで聴くことは、傾聴の基本です。相手の話を途中で遮ってしまうと、相手にとっては話に興味を持ってくれてないとか、意見を軽視しているように受け取られかねません。

そのため、相手が話し終えるまでは、まず辛抱強く聴き、理解していることを示しましょう。

ミラーリング効果を使う

ミラーリングとは、相手の言葉や行動を自身にも反映することで、潜在的に共感してもらうテクニックです。

人は自分と似た特徴や価値観、経験を持つ人に惹かれる・興味を持つ傾向があるという類似性の法則を活用したテクニックで、ミラーリングを使うことで、相手は無意識に「自分と似たもの」をだと感じ、会話がスムーズに進む傾向があります。

ただし、オーバーにやりすぎると不自然になるので気を付けましょう。

バックトラッキング

バックトラッキングは、以前の会話を繰り返したり、振り返ることで、相手の話をしっかりと理解していることを示すことで安心感を与えるテクニックです。

話したことを覚えていてくれると、相手は自分の話を真剣に聴いてくれていると感じるため、さらに良い信頼を深めることにつながります。

相手の発言を言い換える

相手の話を自身の言葉で言い換えて話すことで、相手の話を理解しているということを示すことができます。このおかげで話し相手に自分の話がちゃんと伝わっているという安心感を感じられます。

また、もし仮に誤解していた場合には、その場で誤解していることに気付けるので、トラブルも減らすことができるでしょう。

質問するときは5W1Hを意識する

質問をする時には、「何(What)、なぜ(Why)、どこで(Where)、いつ(When)、誰が(Who)、どのように(How)」の観点を意識しましょう。

そうすることで、相手の話の全体像を理解しやすくなります。そのため、相手の状況や意図をよりしっかりと理解できるので、話の質を高めることができます。

傾聴する時に認識しておきたいデメリット

ここまでは傾聴することの良い面だけにフォーカスしてきましたが、何か傾聴することでのデメリットはあるのでしょうか。2点ほど気を付けることがあるので、その紹介をしていきます。

時間とエネルギーがかかる

傾聴を実践する時に気を付けたいことの1つ目は、「時間とエネルギーがかかる」ということです。相手に親身になって寄り添い、話を聴くということは、自然と時間やエネルギーを消費することになります。

いつどんな時でも傾聴するほどの時間の余裕があれば良いのですが、ビジネスパーソンはさまざま時間に追われています。チームとしての成果を出すためには、全てのことに対して傾聴の姿勢を取ることは難しいでしょう。

そのため、全てのことに対して傾聴の姿勢を取るのではなく、傾聴の姿勢が必要なシチュエーションを理解し、バランスを取るように意識しましょう。

傾聴を必要とするシチュエーションの例として、新規クライアント開拓にあたってのヒアリング、チームメンバーの育成や顧客からのクレーム対応などは特に相手のニーズや考えを知る必要があるため傾聴するスタンスが必要になるでしょう。

逆に、傾聴が必要でない可能性があるシチュエーション例としては、サービス停止した際の緊急対応、進捗状況の確認、など緊急性・即時性が求められたり、情報の伝達だけが求められる場では傾聴するスタンスは比較的優先度が低くなるでしょう。

上記のシチュエーションにおいても、傾聴が求められることはありますので、状況に合わせて行動することが大切です。

他者に寄り添うことでのストレス

他者の気持ちに寄り添い、問題や悩みを聞くことは、聞き手に感情的な負担がかかってしまいストレスに感じることがあるでしょう。

そのため、傾聴力を鍛えるときには、他者に寄り添うことでのストレスが自身にかかっていないかを気に掛けるようにしてください。

例えば、少しでも気持ちの面で揺らぎを感じるのであれば、休憩を取ったり、ストレスを管理するテクニックを身に着けたり、自分自身へサポートをしてもらうように周りに伝えるなどいくつか方法があります。

他者に寄り添うことも大事ですが、自分自身を大切にすることも忘れないでください。

傾聴力が活かせるビジネスシーンや職種

では、傾聴力をどうやってビジネスに活かせば良いかをビジネスシーンや職種に合わせていくつかの例を紹介していきます。

マネジメント層

部長職、課長職などのマネジメント層は、チームに所属するメンバーの能力を最大限発揮するためにも、強みや弱みを把握し、最適なポジションに配置することも求められていることの1つです。

そのため、メンバーの表層的な意見だけでなく、メンバーが口にはせず心に持っている考えや感情を理解することが必要です。

メンバーを深く理解できると、メンバーが挑戦したいことへの後押しをすることできるため、メンバーのモチベーションを高め、チーム全体の調和を保ち、生産性を向上させることにつながります。

マネジメント層が傾聴力を発揮することで、メンバーのニーズや懸念を把握することにつながるため、より効果的な意思決定、問題解決、そして人材の成長促進を行うことが可能になります。

営業職

営業職においても傾聴力はとても重要な要素になります。

営業は単に商品やサービスを売り込むだけでなく、顧客が抱えている課題やその解決方法を提案する必要があります。

しかし、顧客の課題は信頼関係ができていないと、本音を話してくれないことが多いため、顧客が抱えている課題を本音で話してもらうためにも、傾聴する力は身に着けておきたいですね。

顧客サービスなどのサービス職

介護職員や看護師、飲食店の接客員などがサービス職の中でもイメージがしやすいでしょう。これらをはじめとする、実際に顧客に接する仕事においては、傾聴力がとても大切です。

直接、顧客と接しているため、顧客が持つ不満や不安、その原因を汲み取る必要があります。

傾聴する力を持っていると、顧客がしてほしいことをすぐに対応できるため、自然と満足度を高めることになるでしょう。

傾聴に関するおススメの3冊

では、もっと詳しく傾聴について知りたい、傾聴力を鍛えたいと考えている方に向けて、おススメの本を紹介していきます。

読みやすく分かりやすい本をピックアップしましたので、ぜひ読んでみてください。

『一生使える! プロカウンセラーの 傾聴の基本』(古宮 昇氏)

『一生使える! プロカウンセラーの 傾聴の基本』は、大阪経済大学人間科学部教授であり、心理学博士・臨床心理士である古宮 昇氏の著書で、初心者にも分かりやすく傾聴の基本が書かれています。傾聴は他者のためのものと受け取りがちですが、自身の成長にも役立った、というレビューもある通り、相手に寄り添うことだけでなく、自己成長にもつながる1冊です。

『マンガでやさしくわかる傾聴』(古宮 昇氏)

『マンガでやさしくわかる傾聴』は、先ほど紹介した『一生使える! プロカウンセラーの 傾聴の基本』著者である古宮 昇氏が、日常生活の中で活かすことができるようになる「聴く技術」をマンガで分かりやすく書いた1冊です。

マンガでエピソードを書いている部分も含まれており、文字だけ理解することが苦手な場合にはこの1冊はおススメです。

『傾聴のコツ―――話を「否定せず、遮らず、拒まず」』(金田 諦應氏)

『傾聴のコツ―――話を「否定せず、遮らず、拒まず」』は曹洞宗通大寺の住職である金田 諦應氏の著書です。仏教の思想が反映されているため、人にとってはなじみ深い部分もあるかもしれません。

しかし、「なぜ傾聴が大事なのかが理解できた」というレビューにもある通り、テクニックとしてでは無く、心から相手に寄り添うことが大事ということを理解できる1冊です。

全体のまとめ

この記事では、コミュニケーションにおける「傾聴する」ことの意味や目的、メリットを紹介してきました。

デジタル化が進むことで、データや数値といったものがより重要視されていますが、人に寄り添う、親身になる心を持つことが大事なことが少しでもお伝え出来たと思います。

傾聴する力はすぐに身につくものではありませんが、相手へ寄り添う意識を持つだけでも、「傾聴する力」につながります。ぜひ、心掛けてみてはいかがでしょうか。