ビジネスシーンでは、メールは毎日使う必要不可欠なツールです。しかし、便利なツールながらも、適切なビジネスマナーを欠いたメールが意図せず相手に不快感を与えたり、最悪の場合、ビジネスチャンスを損なう原因になりかねません。
そのため、メールを使う上でのビジネスマナーを守りながら、コミュニケーションを取っていくことが求められます。
この記事では、ビジネスメールにおけるマナーの重要性を解説し、実践的なマナーのポイントから、ミスを避けるための具体的な方法まで紹介します。
ビジネスマナーを守った上でビジネスメールを使いこなすことで、より効果的なコミュニケーションに役立つはずです。
ビジネスメールにおけるビジネスマナーの必要性
ビジネスメールにおいて、ビジネスマナーを守ることはとても重要です。では、ビジネスマナーを守ることでのメリットを紹介していきます。
- 相手に失礼な印象を与えず、信頼関係を築くことができる
- ビジネスチャンスを逃すことがなく、ビジネスの成果を上げることができる
- 仕事の効率が上がり、生産性が向上する
- 個人情報漏洩などの危険を回避することができる
ビジネスメールにおけるビジネスマナーは、件名や宛名の書き方、挨拶の仕方、文章の書き方、添付ファイルの取り扱い方、送信前の確認など、多岐にわたります。
ビジネスマナーを守ることで、相手に好印象を与え、円滑なビジネスを進めることができます。ビジネスマナーを守ることは、ビジネスパーソンとしての基本中の基本です。
ビジネスメールにおけるビジネスマナー
それでは、具体的にはビジネスメールにはどんなビジネスマナーがあるのでしょうか?ここでは、メールにおける9つのビジネスマナーを紹介します。
【宛先】To、Cc、Bccを正しく使い分ける
それぞれの役割を知っていますか?使い方を間違えると個人情報が漏れてしまうなど大きな問題に発展してしまう可能性があるので、しっかりと気を付けましょう
To | 直接の送信対象者 |
Cc(Carbon Copy) | 直接の送信対象者以外に情報共有したい相手(送信者全員が送信先を見ることができる) |
Bcc(Blind Carbon Copy) | 直接の送信対象者以外に情報共有したい相手(送信者全員が送信先を見ることができない) |
件名:具体的な件名を付ける:
件名はメールの目的を明確に伝える役割があります。そのため、具体的で簡潔な件名がついていると、受信者側がメールの重要性や緊急性をすぐに判断できるので、反応してくれやすくなるでしょう。
添付ファイル:ファイルサイズとファイル形式に注意する:
添付ファイルが大きすぎると、そもそも送信が完了できずエラーメールが返ってくることもあれば、送信できたとしても、受信者のメールボックスを圧迫してしまいます。
そのため、zipファイルで圧縮したり、可能であればオンラインストレージを使うようにしましょう。
また、例えばai(Illustrator)やpsd(Photoshop)など有料のツールがないと開けないファイル形式も存在します。受信者が開けるファイル形式なのかを事前に確認するようにしましょう。
宛名:会社名+部署名+氏名+様とする:
宛名は正式な形で、会社名、部署名、氏名に「様」を付けて名乗るようにしましょう。具体的には下記のような形で記載すると良いでしょう。
【具体例】
[会社名] [部署名] [氏名]様
株式会社〇〇〇 △△△部 ×× ×××様
あいさつと名乗り:相手との関係や状況に応じて変える:
メールの最初には必ず、あいさつと自己紹介を書きましょう。受信者との関係性やメールの文脈、業界などに応じた適切な言葉選びが重要です。ここでは、一般的なあいさつと名乗りの文例を紹介します。
【基本】
いつもお世話になっております。株式会社〇〇〇△△△部の×× ×××です。
【初めての連絡】
初めてのご連絡失礼いたします。株式会社〇〇〇△△△部の×× ×××と申します。
【状況に合わせて】
お忙しいところ失礼いたします。株式会社〇〇〇△△△部の×× ×××です。
【社内向け】
お疲れさまです。△△△部の×× ×××です。
要旨と詳細:要旨を先に伝え、その後に詳細を書く:
メールでは、先に要旨を伝えることで受信者に興味・関心を持ってもらい、後に詳細な情報を提供することで効率的なコミュニケーションを図ることができます。
【新規クライアント向けの例文】
私たち[会社名]は、[業界]において[特徴的な強み]を持つ企業です。この度、貴社におかれましては、弊社のサービスをご検討いただけるよう、ご連絡を差し上げました。
弊社では、[サービス内容]を提供しております。貴社におかれましては、[業務内容]において[課題]を抱えていらっしゃるかもしれません。弊社のサービスを活用することで、[課題解決]につながることが期待できます。
ご多忙中恐縮ですが、是非一度、弊社のサービスをご検討いただけますよう、お願い申し上げます。
結びの挨拶:挨拶で締める:
結びの挨拶は、礼儀正しさとメールの完結を伝える役割があり、丁寧な印象を残すために不可欠です。いくつか例文を紹介します。
- 今後ともよろしくお願い申し上げます。
- 何卒よろしくお願いいたします。
- ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
- お忙しい中、ありがとうございました。
- ご一考いただけますと幸いです。
- ご多用中、お手数をおかけしました。
- お忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
- ご確認いただけますようお願い申し上げます。
- ご検討いただけますと幸いです。
- 何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
署名:名前と連絡先を明記する:
署名には名前、役職、連絡先を含め、相手が返信やフォローアップを容易に行えるようにすることが大切です。また、受信者が前向きに反応してくれる時には電話での連絡を入れてくれる場合もあります。
連絡先にはメールアドレスだけでなく、電話番号も含めましょう。
ビジネスメールの署名には、会社名、部署名、肩書き、担当者名、住所、電話番号、FAX番号、メールアドレス、WebサイトURLを記載するようにしましょう。
会社や部署毎に決まったテンプレートがある場合はそちらを踏襲してください。
【署名の参考例】
株式会社〇〇〇〇 △△△部
〇〇課長 山田太郎
住所:〒000-0000 東京都〇〇区〇〇町1-1-1
電話番号:03-0000-0000
FAX番号:03-0000-0001
メールアドレス:
返信・転送するときのマナー
メールを受信した場合、「返信」「全員に返信」「転送」の3つのいずれかの対応をすることになります。
返信の場合には、件名に「Re:」が付き、転送の場合には「Fw:」「Fwd:」が付くため、再度受信する側が受信したメールが返信や転送だと認識できます。
転送の場合には、メールを転送する理由をメールの上部に書いた上で元のメールを編集せずに送るようにしましょう。
また、複数の質問に返答する時は、インラインを活用することで、個別に返答することで受信側が読みやすくなり、反応しやすくなるでしょう。
メールを受信したらすぐに返信する
メールを受信したら、すぐに返信するようにしましょう。具体的にはメールを受信した当日中には必ず返信しましょう。
送信側は、仕事を進める上で必要なのであなたに連絡をしてきていることを理解・認識しましょう。
連絡してきている内容に対して、すぐに対応できないのであれば、一時返信をするだけでも相手に与える印象を変えられるでしょう。
メールを返信するときにはすぐに返信することを簡単に触れましたが、ビジネスシーン別の返信の例文を知りたい方は下記の記事で紹介していますので、そちらもチェックください。
ビジネスマナーを考慮したビジネスメールの効率化する方法
ここまで紹介したように、ビジネスメールにおけるマナーはたくさんあり、かつ状況によって対応が違ってきます。そのため、全てのメールに対してマナーを守って対応していくのは時間がかかって大変だと感じられるかもしれません。
そのため、ここでは、ビジネスメールを守りつつも効率化する方法をいくつか紹介していきます。
よく使うメールのテンプレートを作成する
例えば、新規開拓営業をしているビジネスパーソンであれば、クライアント獲得のためにアプローチメールを送信することが多いでしょう。そのため、アプローチメールのテンプレートを用意しておくことで、繰り返し同じようなあいさつや内容を間違えることなく、送ることができるので手間が省けるはずです。
また、以前送信したメールを使いまわしてしまう場合がありますが、以前送信した先の情報が紛れ込んでしまうことなどのリスクもあるため、テンプレートを用意しておけば、そのようなミスが発生することも避けられます。
自動返信メールを設定しておく
休暇中や出張中などですぐにメールが返信できないこともあるでしょう。
そんな時は、自動返信の設定をしておくことで、相手にもすぐに反応できないことが伝わるので、自分自身の効率化だけでなく、相手にとっても時間効率を高めることにつながります。
フォルダの整理
受信したメールをフォルダに分けて整理するようにしましょう。
分け方のルールは業務内容によって異なると思いますが、例えば、注力しているクライアント用フォルダ、お問い合わせメールフォルダ、クレームメール用フォルダなどを用意しておくことで、優先度が高いメールかそうでないかが判断できるようになります。
そのため、優先順位を判断できるような状況にしておくだけでも仕事の効率が非常に高まります。
ビジネスメールでミスをしてしまった時のビジネスマナー・対処法
では、仕事を進める中で、ビジネスメールで失敗をしてしまった時はどうすれば良いのでしょうか?
ここでは、シチュエーション毎の対応方法を事例と共に紹介していきます。
送り先を間違えてしまった場合
ビジネスメールで送り先を間違えてしまった場合、以下のような対処をしましょう。
- まずは、一番最初に上長に状況を報告する
- 送信先を間違えたことをすぐに謝罪する
- 誤送信したメールを削除してもらうように依頼する
- 誤送信したメールを相手方に削除してもらったか確認する
- 同様のミスを防ぐために、送信前に宛先を再度確認する
- 連絡先・アドレス帳を整理する
では、実際に送り先を間違えてしまった場合のお詫びメールの例文を紹介します。
【例文】
件名:【重要・緊急】誤送信メールのお詫び
株式会社○○ 営業担当○○様
いつもお世話になっております。××会社の××です。
先ほどお送りいたしましたメールにつきまして、宛先の入力間違いで○○様にお送りしてしまいました。
宛先の確認不足により、誤ってメールを送信してしまいましたこと、深くお詫び申し上げます。
誤ったメールの内容は以下の通りです。
ーーーーーーーー
送信日時:2023/11/08 08:13
差出人:××会社
件名:△△△△△について
ーーーーーーーー
お忙しいところ大変恐縮ではございますが、上記のメールを開封せずに削除して頂けますと幸いです。
こちらの確認不足、不手際により、○○様にお手間をおかけしてしまいますこと、誠に申し訳ございません。
今後同様の問題が発生しないように、送信前に宛先の確認及び上長等二重チェックによる送信を義務化することにより、誤送信を防ぐように対応致します。
改めて、この度は大変申し訳ございませんでした。今後とも引き続き宜しくお願い致します。
本文の内容を間違えてしまった場合
ビジネスメールで本文内容を間違えてしまった場合、以下のような対処法があります。
- 誤った内容を送信したことをすぐに謝罪すること
- 誤りを訂正し、正しい情報を記載したメールを送信すること
- 同様のミスを防ぐために、送信前に本文を再度確認するようにすること
- 本文を間違えないように、文章を書く前にアウトラインを作成すること
では、実際に本文内容を間違えた場合のお詫びメールの例文を紹介します。
【例文】
件名:【重要・緊急】誤送信メールの訂正
株式会社○○ 営業担当○○様
いつもお世話になっております。××会社の××です。
先ほどお送りいたしましたメールにつきまして、本文の内容に誤りがございました。
誤りがありましたことを、深くお詫び申し上げます。
誤ったメールの内容は以下の通りです。
【誤】
ーーーーーーーー
送信日時:2023/11/08 08:13
差出人:××会社
件名:○○○○について
ーーーーーーーー
【正】
ーーーーーーーー
送信日時:2023/11/08 08:13
差出人:××会社
件名:▼▼▼▼について
ーーーーーーーー
お忙しいところ大変恐縮ではございますが、お手数ですが、先ほどのメールを開封せずに削除して頂けますと幸いです。
こちらの確認不足、不手際により、○○様にお手間をおかけしてしまいますこと、誠に申し訳ございません。
今後同様の問題が発生しないように、送信前に本文を再度確認することにより、誤送信を防ぐように対応致します。
改めて、この度は大変申し訳ございませんでした。今後とも引き続き宜しくお願い致します。
全体のまとめ
この記事ではビジネスメールにおけるビジネスマナーやミスをしてしまった際の具体的な対処法を紹介してきました。
対処法として、シチュエーション毎のテンプレート作成なども挙げてきましたが、実際によくメールで送信するメールの中に定型化できるものが無いか改めて確認してみてはいかがでしょうか。
ビジネスで本来達成すべき目的を達成するためにも、しっかりとしたビジネスメールのマナーを身に着けましょう。ビジネスマナーを間違えてしまったせいで、ビジネスチャンスを逃してしまうのはもったいないですから。