あなたも仕事や私生活でコミュニケーションの難しさを感じたことはありませんか?
伝えたはずのことが、部下や相手に伝わっていないということは、いくつになっても、どんな立場でも起きてしまうことだと思います。
伝えたいことが正確に伝わっていない状態をミスコミュニケーションと呼びますが、これはビジネスや日常生活において、ミスコミュニケーションはさまざまなトラブルを引き起こす原因となります。
そのため、この記事では、コミュニケーションミスが起きてしまう原因とその対策・解消方法について、ビジネス上でよくある例を交えながら解説していきます。
ミスコミュニケーションとは?
ミスコミュニケーションとは、伝えたい情報と受け取った情報が異なる状態を指します。
伝えたい情報が歪曲されて伝わってしまう、伝えたい情報が省略されてしまう、伝えたい情報が一般化されてしまう、受け手側が質問しづらい環境になっているなどの原因によって、ミスコミュニケーションは起こります。
ミスコミュニケーションの概要
ミスコミュニケーションは、以下の3つの要素によって構成されます。
- 伝えたい情報:伝えたい側が伝えたい情報
- 受け取った情報:受け取った側が受け取った情報
- 認識の相違:伝えたい情報と受け取った情報の差異
そして、ミスコミュニケーションが起こると、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 誤った意思決定
- トラブルの発生
- 信頼関係の低下
ミスコミュニケーションとよく似た言葉との違い
ミスコミュニケーションという言葉の他にも似たような言葉を聞いたことがありませんか?ここでは、よく似た言葉のそれぞれの意味についても簡単に説明していきます。
言葉 | 説明 |
---|---|
ミスコミュニケーション | 受け手と話し手の間で認識の齟齬がある状態 |
ディスコミュニケーション | コミュニケーションが取れていない状態 |
コミュニケーションエラー | 上記2つの言葉を包括する言葉コミュニケーションにおいて、誤った情報の伝達や伝達そのものがされないなど、意思疎通に支障をきたすミスや状態 |
コミュニケーションロス | 相手と意思疎通がとれずお互いに認識のズレが生じるなど、コミュニケーションエラーによって発生した損失・事象・結果 |
コミュニケーションギャップ | 伝える側と受け取る側の間で、価値観や背景などの違いによって生じる認識の相違 |
言葉の理解を深めるためのサンプル
大手化粧品メーカーのA社は、大手広告代理店のB社にプロモーション施策の一環として、web広告の企画を依頼した。B社からの提案内容で大枠問題ないとのことでA社内でコンセンサスが取れたため、B社に正式発注となった。
しかし、初期の企画提案・正式発注後から、B社はA社へ1週間も連絡がつかない状態だった。そのことが心配となったA社の担当者は依頼案件が順調に進んでいるのか、B社の担当者へ連絡をした。
B社の担当者に状況を確認したところ、B社内では企画案の詳細が決定し、企画案の実現に向けたクリエイティブ制作が進んでいたようだ。しかし、A社ではそのことを認識しておらず、慌てて企画案の詳細をA社内で検討した。
社内で検討した結果、企画案の詳細はNGとなり、企画案の詳細から練り直すことになり、作業工数が無駄になってしまった。
サンプル例の解説
よくありそうな非常に残念なサンプルですが、どの要素がどの言葉にあたるのかを見ていきましょう。このようなサンプル例だと基本的にはB社側の担当者の問題となりますが、A社側の担当者もしっかりとコミュニケーションが取れていれば、発生しえなかった事象です。
要素 | 発生事象 |
---|---|
ミスコミュニケーション | A社は企画詳細の提案内容に関して確認を取ってくれると思っていたが、B社はクリエイティブが準備出来てからA社に確認するつもりだったという状態。 |
ディスコミュニケーション | 案件の進め方・スケジュールについての事前確認がA社、B社共に取れていない状態。 |
コミュニケーションエラー | 上記2点などのコミュニケーションに不備があったことによって問題が発生した状態。 |
コミュニケーションギャップ | A社は約2,3日でB社から詳細案の提案が来ると思っていたが、B社は詳細案の提出まで1週間ほどかけるという認識の違い |
コミュニケーションロス | 様々なコミュニケーションエラーによって、無駄な作業工数が発生した |
似たような言葉がたくさんあり、理解しづらかった部分を説明してきましたが、理解できましたか?
言葉を正しく理解することで、より原因の追求や対処がしやすくなりますので、ここでしっかりとミスコミュニケーションの意味を理解しましょう。
ミスコミュニケーションが起きてしまう原因
ミスコミュニケーションは、伝えたい情報と受け取った情報の認識の相違によって起こります。この認識の相違は、以下の4つの原因によって引き起こされる可能性があります。
伝えたい情報を一般化してしまう
伝えたい情報を具体的に伝えることができず、一般化してしまうことがあります。
例えば、上司が部下に「プレゼンテーションの資料を明日中に作成してください」と伝えたとします。
上司の認識として、明日中とは遅くとも15時までという認識でいたが、部下は「明日中なら定時18時までに作成すれば良いや」と受け取り、少しだけ優先度を下げ18時に提出することを目途に作業を進めてしまう、という可能性があります。
上司の中で「明日中」という指示は「15時」であり、部下の中で「明日中」は「定時の18時」だというお互いの一般化による認識の違いで、ミスコミュニケーションが発生してしまいます。
伝えるべき情報を省略してしまう
伝えるべき情報をすべて伝えることなく、重要な情報を省略してしまうことがあります。
先ほどと同じ例に沿って説明します。先ほどと同じように、上司は部下に「プレゼンテーションの資料を明日中に作成してください」と伝えたとします。
前の段落のように「明日中」が何時なのか認識にずれがあるため、部下は上司への提出期日を守れない可能性があります。
上司がはっきりと期日を省略せず正確に時間で伝えるか、もしくは部下の方から明確な時間を確認していればミスコミュニケーションを避けられるはずです。
伝えたい情報が歪曲されて伝わってしまう
伝えたい情報が、伝える側の誤った表現や言い間違いによって歪曲されて伝わってしまうことがあります。
例えば、先ほどの紹介した上司と部下の間で、後日次のような会話があったとします。
上司は「前日お願いしたプレゼンテーション資料はどれくらい作るのに時間がかかりましたか?」と質問された時、もしかすると部下は「期日に遅れたことを怒っているのかな?」と勘ぐってしまうかもしれません。
しかし、上司は特にそのような意図は無く、同じような資料作成を誰かにお願いする時の参考として聞きたかっただけかもしれません。
部下に情報が歪曲されて伝わることで、知らず知らずのうちにミスコミュニケーションが発生してしまう可能性があり、これは望ましい状態とは言えないでしょう。
受け手側が質問しづらい環境になっている
受け手側が質問しづらい環境になっていると、伝えたい情報が正しく伝わらない可能性があります。
例えば、先ほどから登場している上司と部下との間で、信頼関係が構築できていた場合には、部下が上司に対して、「明確な資料の提出期日」や「なぜ後日かかった工数を確認したのか」について、質問することができたはずです。
上司部下という関係だけでなくとも、発生することではあるので、ミスコミュニケーションを発生させず、円滑なコミュニケーションを図るためにも、質問しやすい環境を整えることは非常に大切になります。
様々な原因を例とともに説明してきましたが、改めて、ミスコミュニケーションを防ぐためには、伝える側と受け取る側の双方が意識してコミュニケーションを行うことが大切です。
伝える側は、伝えたい情報を明確に伝え、受け取る側は、質問をしやすい環境を整えることが重要です。
ミスコミュニケーションを防ぐためにできること
ミスコミュニケーションを防ぐためには、伝える側と受け取る側の双方が意識してコミュニケーションを行うことが大切です。具体的には、以下の対策を検討してみてください。
あいまいな表現や指示語を使わず「4Cの法則」を意識する
伝えたい情報を明確に伝えるためには、あいまいな表現や指示語を使わず、具体的でわかりやすい言葉を使うことが大切です。
実際に使える法則としては、「4Cの法則」があります。伝えたい情報を「明確(Clear)」「簡潔(Concise)」「正確(Correct)」「適切(Complete)」に伝えるようにしましょう。良い例、悪い例は下記のようなものです。
【悪い例】
プレゼンテーションの資料を、明日中に作成してください。
【良い例】
明後日の9時からの会議で使うプレゼンテーションの資料を、明日の15時までに作成してください。私が明日17時までにチェックし、FIXさせるためです。
重要なことは口頭のみの連絡で済ませない
重要なことは、口頭のみの連絡で済ませず、メールや書類などの記録を残せる方法で伝えるようにしましょう。記録を残しておくことで、誤解や認識の相違を防ぐことができます。
例えば、「明日の定例会議は、10時から行われます」という指示をメールやチャット、カレンダーに登録しておくと、後から誰もが確認できます。
正しく伝わったかを複数回確認する
伝えた内容が正しく伝わっているか、複数回確認するようにしましょう。受け取った側が質問しやすい雰囲気づくりも大切です。
例えば、「明日のプレゼンテーションの資料は、明日15時までに作成してください」という指示を出した後は、部下に質問がないかと尋ねて、認識齟齬がないか確認しましょう。
過去に起こったエラーを共有し、ノウハウ化・ルール化する
過去に起こったミスコミュニケーションを共有し、ノウハウ化・ルール化することで、再発を防ぐことができます。
例えば、「明日のプレゼンテーションの資料を15時までに作成してください」という指示を出す際には、必ず部下と一緒に作成手順と進め方、スケジュールを細かく設定するように、ルール化しましょう。
コミュニケーションツールの導入し、記録を残す
コミュニケーションツールを導入して、記録を残すことで、コミュニケーションの状況を把握しやすくなります。具体的には、SlackやChatwork、notion、backlogなどのチャットツール、タスク管理ツールを導入すると良いでしょう。
誰もが安心してコミュニケーションできる環境を整える
誰もが滞りなく、安心してコミュニケーションできる環境を整えることで、質問や意見を言いやすい雰囲気を作りましょう。
全体のまとめ
改めてにはなりますが、ミスコミュニケーションとは、伝えたい情報と受け取った情報の認識の相違によって起こるコミュニケーションの障害です。ミスコミュニケーションは、ビジネスや日常生活において、さまざまなトラブルを引き起こす原因となります。
ミスコミュニケーションを防ぐためには、伝える側と受け取る側の双方が意識してコミュニケーションを行うことが大切です。伝える側は、伝えたい情報を明確に伝え、受け取る側は、質問をしやすい環境を整えることが重要です。
具体的に下記のことを試してみることでミスコミュニケーションを減らすことができるでしょう。
- 伝えたい情報を明確に伝えるためには、あいまいな表現や指示語を使わず、具体的でわかりやすい言葉を使うことが大切です。また、「4Cの法則」を意識して、伝えたい情報を「明確(Clear)」「簡潔(Concise)」「正確(Correct)」「適切(Complete)」に伝えるようにしましょう。
- 重要なことは、口頭のみの連絡で済ませず、メールや書類などの記録を残せる方法で伝えるようにしましょう。記録を残しておくことで、誤解や認識の相違を防ぐことができます。
- 伝えた内容が正しく伝わっているか、複数回確認するようにしましょう。受け取った側が質問しやすい雰囲気づくりも大切です。
- 過去に起こったミスコミュニケーションを共有し、ノウハウ化・ルール化することで、再発を防ぐことができます。
- コミュニケーションツールを導入して、記録を残すことで、コミュニケーションの状況を把握しやすくなります。
- 誰もが安心してコミュニケーションできる環境を整えることで、質問や意見を言いやすい雰囲気をつくることができます。
ミスコミュニケーションを防ぎ、より良いコミュニケーションを取ることでビジネスや日常生活をより豊かにしましょう。