メタ認知とは?高い人・低い人の特徴や具体的なトレーニング方法を紹介!

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近年、「メタ認知」という言葉が注目を集めています。メタ認知とは、一言で説明すると自分自身を客観的に認知する能力です。

特にビジネスシーンで注目されており、メタ認知が高い人は、人とのコミュニケーションを適切に取ることができたり、感情に振り回されることがなく安定感があったりと、ビジネスにおいても重要な一つのスキルとなっています。

今回は、「そもそもメタ認知とは?」の概要を説明し、高い人、低い人の特徴や具体的なトレーニング方法を紹介します。メタ認知を高めたいと考えている方にとっておすすめの内容なので、ぜひ参考にしてみてください。

メタ認知とは?

メタ認知とは、自分自身を客観的に観察、制御するための能力です。簡単に説明すると、自分の考え方や学び方等を見守りながら、より良い方向や結果に導くことができるスキルになります。

例えば、新しいスキルを学ぼうと思った時、メタ認知が高い人はまず自分の学習方法をよく観察する能力があります。自分がどのようにしたら学びやすいのか、どのようなアプローチが適切なのかを理解します。

そして、学習の進捗や理解度を自己評価し、「このスキルをどのくらい理解できているだろうか?」「学び方に改善点や修正点はないか?」のように、具体的な評価を自分自身で行うことができるようになります。

その評価をもとに学習戦略を改善したり、別のアプローチ方法を試してみたりと、メタ認知を使うことでより効率的かつ効果的な学習や問題解決が可能になるのです。

自分自身を客観的に評価し、必要な修正や調整を行うことで今まで以上に良い結果を得ることができるため、メタ認知は何かを学習するときや、課題を解決するために必要不可欠のスキルであると注目されています。

メタ認知の提唱者

メタ認知の提唱者は、ジョン・フラベルという心理学者です。ジョン・フラベルは、メタ認知の研究に多大な貢献をし、その概念を広めた人物として知られています。

メタ認知の研究では、子どもの発達におけるメタ認知の役割を研究し、重要性などを指摘しました。また、メタ認知が問題解決や学習効果に与える影響についても深く考察した人物です。

ジョン・フラベルは1970年代の約53年前から研究を始めていましたが、メタ認知という言葉はつい最近まで一般的には知られていませんでした。

しかし、最近になって教育・人材育成・ビジネスにおいて重要な能力の一つとして注目されるようになり、その名が世界中に広まることとなったのです。

メタ認知と俯瞰力の違い

メタ認知は、自分自身を客観的に見て自分に気づく能力のことです。例えば、自分自身の学習を観察し、評価、調整までできるスキルのことを言います。

一方、俯瞰力は、広い視野で物事を見ることのできる能力を指します。これは、より広い全体像を把握する力であり、詳細や個別の要素にとらわれず、全体のパターンや関係性等を把握するための能力です。

つまり、メタ認知は自己の思考などにフォーカスし、自己管理や成長を促すための能力を指しています。それに比べて俯瞰力は、広い視野で物事を見る能力であり、内面的ではなく外部の状況や要素を包括的に把握する際に活用される能力です。

一見、同じような能力と勘違いしがちですが、全く異なるスキルです。しかし、両方のスキルを駆使することができれば、より効果的な思考や判断を行うことができるようになるため、どちらか一つが大切ではなく、どちらも大切にしたい能力となります。

メタ認知は2つに分けられる

メタ認知は、大きく分けると「メタ認知的技能」と「メタ認知的知識」の2つの種類があります。ここでは両者の違いについて見ていくので、参考にしてみてください。

メタ認知的知識

メタ認知的知識とは、簡単に説明すると自分自身が知っている知識のことです。つまり、自分の知識や思考についてのメタ認識を持つことがメタ認知的知識になります

具体的には、「自分がどのように学習するか」「情報をどのように処理するか」「問題解決のために何をやったらいいか」などを含んでいます。

メタ認知的知識を持つことで、自分自身の弱点や強みを理解し、それに応じてどのような戦略をとったり、修正すべきか考えられたりする能力です。そのため、学習に例えると効果的な学習や知識の獲得が可能になります。

メタ認知的技能

メタ認知的技能とは、問題解決や、自己成長を促進するためのスキルです。具体的には自分が何を知っていて、どのように考えているかを理解し、自己の認識や問題となっている部分の修正ができるようになります。

例えばタスク管理を例に挙げてみましょう。タスク管理は自分の時間やリソースを管理し、効率的にタスクをこなす能力です。

この部分にメタ認知的技能を加えると、タスクに優先順位をつけられるようになり、スケジュールも把握し、効率的なタイムマネジメントができるようになります。生産性が上がることで成果を上げられ、自身の成長にもつなげることにつながるのです。

メタ認知的技能は、メタ認知的知識の応用であり、特に重要な部分です。メタ認知を高めるためには必須の能力なので把握しておくようにしましょう。

メタ認知が高い人の特徴とは?

メタ認知が高い人とは、具体的にどのような特徴を持っている人なのでしょうか。ここではメタ認知が高い人の4つの特徴を挙げるので、参考にしてみてください。

周りへの配慮ができる

メタ認知が高い人は、物事を客観的に見る能力が高いため、周りとの適切な距離を保つことができます。そのため、周りへの配慮もできるようになり、決して相手が不快に思うようなことはせず、相手にとって心地の良い環境が何か考えられます

周りへの配慮ができると、良好な人間関係を築き上げることができたり、チームワークなども高められたりすることが可能です。このように、メタ認知が高い人は周りへの配慮ができることから、さまざまな面でポジティブな影響をもたらすことが可能です。

どのような時でも冷静に対応できる

メタ認知が高い人は、どのような場面でも冷静に対応することが可能です。

自分自身を認識することができ、制御まで行うことが可能であるため、ストレスや感情の影響を客観的に判断し、冷静な対応ができます。

また、自分の思考や感情にとらわれることなく、状況全体を俯瞰して見る能力も持っています。そのため、客観的な視点から物事を見ることができ、どのようなときでも冷静な判断が可能です。

特に困難な問題が発生したとき、人は感情的な反応が出て冷静な対応ができなくなることがあります。しかし、メタ認知が高い人は、このような状況でも冷静さを保つことができるため、困難な問題も解決しやすいと言われています。

そのため、何かと感情的になりやすいと感じている方は、メタ認知能力を高めてみてはいかがでしょうか。

柔軟性がある

人は環境や状況が変化したとき、ストレスを感じやすくなります。特に適応できないとなると、冷静な判断ができなくなり、感情的になってしまうのです。

しかし、メタ認知の能力が高い人は、自己の思考や感情を認識し、制御する能力を持っています。これにより、状況や環境の変化に対しても情報や要件に応じて考え方や行動を見直し、柔軟に対応することが可能です。

また、自己修正能力が高いのも特徴の一つです。メタ認知能力が高い人は、自己評価やフィードバックを活用し、間違いや失敗をしてもすぐに修正する能力があります。柔軟に対応できることから、失敗をしてもすぐに立ち直れる特徴を持っています。

このように、メタ認知を高めると柔軟に対応できる能力も身につくため、柔軟性に行動したい方は、メタ認知能力を高めてみてはいかがでしょうか。

仕事への意識が高い

メタ認知の能力が高いからといって必ずしも仕事への意識が高いとは限りませんが、一般的に自分の目標を明確にし、それに向かって計画的に取り組むことができる特徴を持っているため、仕事への意識が高いと判断されることが多いようです。

自分から見ると普通のことだと思っても、周りからの目は努力家であり、黙々と仕事に取り組む人と判断されるため、評価は高くなると言えるでしょう。

特に社会人としてキャリアアップを目指していくためには、周りからの評価もとても大切な要素となります。「仕事への意識が高い」と判断されれば、高く評価してくれる可能性もあるため、キャリアアップを目指す人にとってメタ認知を高めることは、メリットしかないのです。

メタ認知が低い人の特徴とは?

ここまで、メタ認知が高い人の特徴について紹介しましたが、反対に低い人の特徴はどのような点が挙げられるのでしょうか。ここではメタ認知が低い人の特徴について2つ紹介するので、当てはまっていないか確認してみてください。

物事を客観的に見れない

メタ認知が低い人の特徴として、物事を客観的に見ることが苦手な点が挙げられます。

例えば、自己の能力やパフォーマンスを客観的に評価することが難しいことが特徴としてあげられ、自分自身を過大評価したり、逆に過小評価したりする傾向があります。

また、メタ認知が低い人は感情や主観的な意見が物事の判断に影響を与えてしまうことがあります。自分の感情や好みに基づいて物事を評価してしまうため、客観的に見た結論を出すことができない傾向にあります。主観的な意見のみの場合、例えばビジネスにおいても失敗する可能性が高くなるため、できれば客観的にも物事が見られるようにならなければなりません。

その他にも、失敗や過ちに対して、客観的に反省して改善することが難しい場合もあります。自分自身の行動や判断を客観的に評価する能力が欠けているため、失敗を改善できず、再度同じミスをしてしまうこともあるのです。

このように、物事を客観的に見られない人はメタ認知が低い特徴があります。客観的に見られないことにより、さまざまな支障をきたす恐れもあるため、当てはまる場合はしっかりと改善していきましょう。

相手の行動や質問の意図を汲み取れない

メタ認知は自分自身を客観的に見ることができる能力であり、自己の思考を理解、監視、制御する能力です。これらの能力が欠けている場合、他者の思考や意図も理解することができません。

相手の立場や視点を理解することが難しいため、どちらかと言えば自己中心的な考え方となってしまいます。

また、コミュニケーションにおいても相手の非言語的なサインや表情、身振りなどを見逃してしまう傾向にあるため、相手の感情や意図なども正確に読み取ることができません。そして、見逃すことで誤解や混乱を招く恐れもあるのです。

そのため、これらに当てはまる方は、日頃から相手の視点を意識し、質問の背後にある意図を推測するための努力は欠かせません。日々の努力を積み重ねることで改善していくことができるでしょう。

メタ認知を高めるメリット

メタ認知を高めるメリットは、具体的にどのようなことが挙げられるのでしょうか。ここではスキルを身につけた場合のメリットについて4つ紹介します。

課題を抽出できるようになる

メタ認知の能力を高めることで、課題を抽出できるようになります。

メタ認知の能力が高まると、自己評価と自己認識が向上し、自分自身の能力やスキルを客観的に評価できるようになります。自己評価を適切に行うことで、「今の自分に何が足りないのか?」「課題は何か?」など自分の課題や改善すべき点を見つけ出すことが可能です。

また、強みと弱みの両方を把握できるのも特徴の一つです。両者を把握できれば、例えば得意なスキルに自覚的であり、改善すべきスキルも明確に認識できます。これにより、何を中心的に磨けばいいのかがわかるようになるのです。

メタ認知を磨き、課題を抽出できるようになれば、あとは改善していくだけの作業となるため、効率よく自分自身を成長させていくことができます。

協調性を高められる

メタ認知の能力を高めることができれば、協調性も高められる可能性があります。

その理由として、メタ認知の能力が高い人は自己認識ができることで相手への配慮ができるようになるからです。相手の視点や感情に対して敏感になることができ、自分のどのような行動が相手を不快にさせるのかなどを把握できるため、より良い関係を築きやすくなります

また、メタ認知を高めることで、コミュニケーションの改善にも役立てることができます。自分自身のコミュニケーションを客観的に評価し、改善ができるため、効果的なコミュニケーションを行うことができるようになるのです。

コミュニケーションは協調性を高めるために必要不可欠な要素です。特に話すことで他者との関係性が悪くなりやすい方は、メタ認知能力を高めることで改善できる可能性もあります。

感情コントロールがしやすくなる

メタ認知を高めることで、感情をコントロールしやすくなるメリットもあります。

メタ認知の能力を高めると、自分自身の感情を認識し、理解する能力が向上します。例えば「今の自分はどのような感情を抱いているのか」を正確に把握できるため、感情に対する抑制が容易にできるようになるのです。

また、調整能力も高くなります。自分が抱く感情を適切に自己規制できることで、もし感情が高まったとしても素直に吐き出すことはありません。しっかりと制御できることから、自分の感情によって人を不快にさせることがなくなるのです。

感情は時にストレスの引き金にもなり、仕事の邪魔をすることもあります。集中力の低下にもつながる可能性もあるため、感情を制御できない方は改善する必要があります。

メタ認知の能力を高めることは自分を制御するためのとっておきの方法となるため、感情をコントロールする方法を探している方はトレーニングによってメタ認知を高めてみてください。

問題を解決するための能力が身に付く

メタ認知を高めることは、問題解決に対する能力にプラスの影響を与えやすくなります。

メタ認知能力が高まると、自分自身の思考や知識のプロセスをより深く理解することが可能です。それにより、あらゆる問題を正確に把握し、「何が要因となっているのか?」隠された問題を見つけ出す能力を高めることができるのです。

また、制御力や忍耐力も高くなる傾向にあるため、問題解決へと導くことも可能です。メタ認知能力を高めると、問題に取り組む過程で決して焦ることはせず、効果的な解決策を探すために時間をかけ、努力することができます。メンタルも強くなり、黙々と取り組む力が身につくので、あらゆる問題を適切に解決しやすくなるのです。

その他にも、過去の経験や結果を反省する能力が身につくため、将来的な問題解決に役立つ知識や戦略を獲得することもできます。

このように、メタ認知を高めることはあらゆる問題解決に役立つため、問題解決能力が低いと感じている方は、トレーニングを繰り返して身につけてみてはいかがでしょうか。

メタ認知を高めるための具体的なトレーニング方法

「メタ認知の能力を高めたい」方に向け、ここでは具体的なトレーニング方法を紹介します。大きく分けて3つのトレーニング方法があるので、高めるための方法について知りたい方は参考にしてみてください。

セルフモニタリング

セルフモニタリングとは、自己観察や自己評価のプロセスを通じて、自分の行動や思考を客観的に観察し、評価することを意味します。簡単に説明すると、自分の弱点から逃げず、しっかりと向き合うためのトレーニングです。

具体的にはプレゼンテーションでセルフモニタリングをする方法として、自分の発表内容や伝えたいポイントを振り返り、自分の発声や表情、伝え方などをセルフモニタリングで評価します。その結果、「声が小さくて聞き取りづらかった」「内容が薄くて伝わりにくかった」などを、自分を客観的に観察して改善点を見つけ出すことができます。

セルフモニタリングは、自分を自分で評価することになるため、相手に評価してもらうよりも難易度は高くなります。しかし、しっかりと分析ができれば自分自身を客観的に見る癖が身につくため、結果的にメタ認知能力を高められるようになります。

メタ認知能力を高めるうえで欠かすことのできないトレーニング方法となるため、自分自身を客観的に見ることが苦手な方は取り組んでみてください。

フリーライティング

フリーライティングとは、特定のテーマにとらわれず、自由に書き続けることを言います。一般的には、思考を停止させずにアイデアや感情を自由に書き出すことが目的です。

取り組むことで、思考プロセスの観察に役立ちます。例えば、自由に書き続けることで、自分の思考の流れやパターンをしっかりと捉えることが可能です。「自分のアイデアや感情がどのようにつながっていくか」「どのパターンが現れるのか」など、観察することで自分の思考の傾向や強み、苦手なことなどが理解できるようになります。

また、フリーライティングは自己表現と自己理解を深めるための手段の一つでもあります。具体的には自分の内面的な感情や思考を言語化でき、文章にすることで自分自身のことを理解できるようになります。また、文章にした内容を読み返すことで、自分自身を反省したり、今まで気づかなかった自分を見つけたりする機会にもなるのです。

フリーライティングはスキマ時間にも簡単にできるトレーニングです。頭の中で考えていることを書き出すだけのトレーニングなので、メタ認知を高めたい方はぜひ取り組んでみてください。

瞑想

メタ認知能力が身についていない方は、セルフモニタリングやフリーライティングを行っても「なんだか集中できない」となることもあるでしょう。このようなケースでおすすめなのが瞑想です。

「瞑想はメタ認知を高められるの?」と疑問に思われる方もいますが、重要なトレーニングの方法として知られています。

瞑想は自己観察を深めるための貴重な手段です。取り組むことで自分の思考や感情、身体感覚に注意を向けることで内面の状態や反応を客観的に観察できるようになるのです。

また、注意を意図的に集中させることを促す効果があるため、一点に集中する能力を身につけることができます。集中力を向上させることができれば他のトレーニングにも役立つので、瞑想はメタ認知を高めるためのトレーニングの一つとして重要です。

まとめ

メタ認知は、自分自身を客観的に見ることができる能力のことです。客観的に自分を認知し、コントロールすることができれば常に冷静になることができ、適切な判断にもつなげられるでしょう。

また、客観的に見られるようになれば、ビジネスシーンにおいては業務効率が高くなったり、人間関係においては良好な関係を築き上げることができたりとさまざまなメリットがあります。

特に注目されている能力の一つとなるため、自分自身を客観的に見ることが苦手な方は、トレーニングなども実践しながらメタ認知を身につけてみてください。