読書にはさまざまな効果があり、習慣化することで今まで知らなかった知識の習得ができたり、スキルアップにつながったりすることもあります。
しかし、「読書が大切だとわかっていてもなかなか習慣化できない」と悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、今回は読書を習慣化させたい方に向け、具体的なノウハウをご紹介します。
なぜ多くの人が「読書習慣」を身につけられず挫折するのか?
文化庁が行った平成30年度の『国語に関する世論調査の結果概要』の調査によると、1ヶ月に読む本の冊数について「1ヶ月に1冊も読まない」と回答した人が47.3%もいることがわかりました。そのうち、「自分の読書量を増やしたいと思うか」といった問いに対し、「増やしたいと思う」が60.4%となっています。
上記の調査結果を見てもわかる通り、読書をしたいと思っているにもかかわらず、実際にはなかなか習慣化できていないのが現状であることがわかります。
では、なぜ多くの人が読書を習慣化できず、挫折してしまうのでしょうか。その原因について具体的に紹介するので参考にしてみてください。
①目標設定を間違えている
読書の習慣化が難しい場合、それは目標設定に問題がある可能性があります。例えば、仕事で忙しいにもかかわらず1日に3時間以上も読書をする時間にあてるとなると、体力的に限界が来てしまいモチベーションの低下につながる恐れがあります。
また、目標設定があまりにも小さい場合も習慣化できない可能性があります。例えば1週間に1回10分だけ読書をするなどの目標設定は、読書をすること自体忘れてしまう可能性があるため、モチベーションも維持できずに習慣化することは難しいでしょう。
読書の習慣化のためには適切な目標設定を立てる必要があるため、なかなか続かずに悩んでいる方は、目標設定が間違えていないか確認しましょう。
②ハードルの高い本を選んでいる
自分に適していない本を読み始めると「眠くなってしまう」とか「読み終えたのはいいけど頭に全く入っていない」など、経験したことがある方も多いのではないでしょうか。これらの原因は自分に適していないハードルの高い本を読んでいる可能性があります。
特に自分にとって関心のない本に手を出してしまうと、モチベーションの低下にもつながります。全く知識のない、関心もない本から読み始めることで、「何を言っているか理解できない」とか「読めば読むほど嫌になってしまう」ことにつながりかねないため、特に習慣化を目標としている方は、はじめにハードルの高い本には手を出さないよう注意しましょう。
③集中できない環境にいる
集中できない環境にいる場合、集中を妨げてしまう可能性が高いため、習慣化させることは難しいでしょう。具体的には騒音や音楽など、騒がしい環境は集中力の妨げになる可能性が高いです。
また、明るさや照明が欠けている場合は、視覚的なストレスを引き起こし集中力の妨げになる可能性が高くなります。高温や低温、座り心地が悪い環境等も集中力の妨げにつながるでしょう。
その他にも、スマートフォンやインターネットの誘惑も危険です。手元にスマートフォンがあると読書をしていても通知などが気になって集中できなくなってしまうはずです。
このように、集中できない環境は挙げればたくさんのことがあります。読書を習慣化させるためには環境も大切となりますので、適している環境かどうかを見つめ直しましょう。
下記記事では、読書に集中できない時の対策方法を紹介していますので、こちらもチェックしてみてください。
④本を読む時間が作れていない
本を読むことを習慣化させようとしているものの、優先順位が低くなっていませんか。例えば読書の時間よりも低い優先順位のものを先に置いてしまう場合、なかなか時間を作ることは難しいでしょう。
また、スキマ時間に本を読む人が多いため、そのスキマ時間を確保できないと本を読む時間を確保することが難しくなります。
読書の時間を確保するための工夫をすることで習慣化につながるので、時間が作れていないと悩んでいるならしっかりと時間を確保し、習慣化のための努力を続けましょう。
下記記事ではスキマ時間の確保の仕方について紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
⑤すべてを理解して読もうとしている
本を読む際に、「1文字も読み漏らしてはいけない」といった思考パターンになっていませんか。読書の習慣化において、このような思考パターンはストレスを引き起こす原因となってしまいます。
ストレスを引き起こすと本を読むことに楽しさを感じなくなる可能性が高くなり、続けることが難しくなってしまうのです。
あくまでも読書は楽しみながら知識を得るための活動であるため、必ずしも1文字1文字にこだわる必要はありません。自分に合った読書スタイルを身につけ、ゆるい気持ちで習慣化を目指しましょう。
習慣化できない理由の本質「人間の3つの本能」とは?
一般的に人が新しいことを習慣化するためにかかる期間は、平均で66日と言われています。しかし、あくまでも平均的な数字であり、何を習慣化したいかによっても異なります。
読書に関して言えば、行動に関わる習慣化となるため、約1ヶ月で習慣化できると言われています。
しかし、習慣化までには3つの段階があり、知らずに続けることだけを目標に行動してしまうと失敗につながる可能性もあるのです。
ここでは読書を習慣化させるために知っておきたい「人間の3つの本能」について紹介します。
①脳の反発期
脳の反発期は、習慣化までに乗り越えなければならない第1段階の壁です。反発期は本能的に抵抗してしまい、辞めたくなる時期のことを言います。
例えば何かを始めようとするとき、「明日からやればいい」という言葉をよく耳にします。中には実際に「明日からやろう」という言葉を使ったことがある方も多いでしょう。
まさにこのような状態が脳の反発期となり、実際に反発期で挫折してしまう人が多いと言われています。
脳の反発期を乗り越えるためには、とにかく続けることが大切です。少しでもアクションを起こすことができれば乗り越えられる可能性が高いため、毎日5分程度でもいいので読書を続けましょう。
注意点としてはやりすぎないことです。脳の反発期に無理をしてしまうと挫折につながるため、あくまでも最初から飛ばすことがないよう、徐々に続けていくことが大切です。
脳の反発期を乗り越えられれば習慣化への第一歩となるため、無理のない目標設定から取り組むようにしましょう。
②脳の不安定期
脳の反発期を乗り越えると、次は2段階目となる脳の不安定期が訪れます。簡単に説明すると振り回される時期のことです。
脳の不安定期を乗り越えるためには、時間や場所、例外ルール等もあらかじめ設定しておくとイレギュラーなことにも対応していくことができるでしょう。
例えば、「寝る前に30分だけ読書をする」という目標を立て、そのルールを続けるとします。しかし、毎日そのパターンが継続するかというとそうではありません。
中には急な予定が入り、読書をするために確保した1時間が消えてしまうこともあるでしょう。このように、パターンやルールを決めたとしても必ずしもできるとは限らず、イレギュラーなケースもあるでしょう。
イレギュラーなケースが発生した場合、「いつものルーティンが崩れたからもうやめよう」とならず、「イレギュラーな日は5分だけでもいいから読書をしよう」とあらかじめ決めていれば無理な設定ではないので「もうやめよう」とはなりにくくなります。
1日に決めたルール設定を完璧にこなそうとするとモチベーションの低下にもつながり、イレギュラーなケースに対応できず挫折につながることがあります。脳の不安定期を乗り越えられなくなる可能性があるため、第2段階ではイレギュラーなことにも対応できるように対策しておくことで習慣化につなげることができます。
③脳の倦怠期
第3段階である脳の倦怠期は、マンネリ化を感じやすく、続けることに飽きを感じてしまう時期です。
人は慣れてくると物足りなく感じることがあり、変化がないと続けることが難しくなってしまいます。
そのため、脳の倦怠期を乗り越えるためには、変化をつけることや、習慣化した先に何を得られるのか思い返すことが大切です。
飽きてきたときには新しいことに取り組むのが一番と言われているため、読書であれば今まで読んだことのない新しい本を購入してみるなど、工夫すると良いでしょう。
新しい本、興味のある本を新たに購入すれば、モチベーションも上がりワクワクとした気持ちになれます。変化をつけることは習慣化のために大切なことなので、ぜひ試してみてください。
また、倦怠期になると習慣化になれてしまい、最初の目的を見失いがちです。例えば読み始めは「本から得た知識で仕事や私生活の場面で生かしていきたい」だったにも関わらず、慣れてくると「1日30分本を読む」など習慣化することが目的だと勘違いしてしまうケースがあります。
習慣化することを目的にするのではなく、習慣化した先に何を得られるのか再度思い返し、今後のことを想像することも大切です。このような工夫をすることで脳の倦怠期は乗り越えることが可能なので、ぜひ試してみてください。
読書習慣を身につける方法8選
読書を習慣化させる具体的な方法は、大きく分けて8つあります。ここでは具体的な例や数字もあげながら紹介していきます。
①小さなハードルを越えていく
読書を習慣化させるためには、まず小さなハードルを越えていくことから考えることが大切です。個人の能力やスケジュールなどに応じて調整していくことが大切ですが、例えば「1日に最低でも15分は読書をする」や「1日に5ページは読む」など、小さな目標であれば続けやすくなるはずです。
逆に「1日1冊読む」や、仕事で忙しいにも関わらず「毎日3時間読む」となるとハードなスケジュールとなり、モチベーションも続きません。
現在習慣化できていない人は、目標設定が崩れてしまうと「もう読むのはやめよう」と挫折してしまう可能性も高いため、まずは小さなハードルから乗り越えられるよう努力しましょう。
②興味のあるジャンルの本を選ぶ
読書の習慣化を目指すためには、興味のあるジャンルを選ぶことが大切です。興味のある本を読むことで、モチベーションを高めることができたり、継続的に取り組みやすくなったりとさまざまなメリットがあります。
すでに興味のあるジャンルが思い浮かぶ方は、そのテーマやジャンルを選ぶことで習慣化しやすくなります。
本について詳しくない方は、友人や家族からおすすめの本を聞くのも良いでしょう。また、好きなジャンルがないのであれば、ベストセラーなど人気作品から手を出すのもおすすめです。
ベストセラーや人気作品は、多くの方が手に取り、楽しんでいる本の一つです。多くの人に愛されている本は興味深いストーリーやテーマを含んでいる可能性が高いため、参考にしながら選んでいくこともおすすめです。
③ページ数の少ない本からはじめる
習慣化を目指すためには、ページ数の少ない本から始めるのもおすすめです。例えば短編小説などでは100ページ以下のものも存在していますし、エッセイ集も100ページ以下と少なめに設定されているものが多いです。
長編小説など500、1,000ページ以上あるものは、習慣化させようと思っている人にとってはモチベーションが低下する恐れもあるため、まずは少ないページ数から読み始めるのを検討してみてください。
④本を読む時間を意識的に取り入れる
本を読むことを習慣化できていない人は、意識的に取り入れてみることをおすすめします。
具体的には、スケジュールに組み込むことも検討してみてください。例えば、「朝のルーティンとして15分間の読書をする」や「寝る前の30分間を読書の時間に充てる」など、スケジュール管理をしておくことで忘れることがありません。
ただし、読書の習慣は徐々に構築されるものです。時間がないのに無理やり長時間確保してしまうと大変なので、意識的に取り入れるにしても少ない時間から始めることをおすすめします。慣れてきたら徐々に読書の時間を1時間、2時間と増やしましょう。
⑤読書しやすい環境を整える
読書の習慣化には、集中しやすい環境を整えることが重要です。例えば、静かな場所を選ぶことは集中力を高めるためにも大切なことと言えます。雑音や騒音がある場所で読書をすると、気が散ってしまい、読み進めるのにも時間がかかってしまいます。
周りの環境に左右されずに集中できる人は問題ありませんが、騒音や雑音が気になるのであれば、静かな環境で読める自宅を選択するなど工夫しましょう。
また、SNSやインターネットなど、誘惑される可能性の高いものは排除しておくことをおすすめします。例えば友人からの連絡が頻繁に届くなど、読書中に連絡が来ることで集中を妨げてしまう可能性が高いです。
そのため、スマートフォンなどの電子デバイスは、通知をオフにしたり、電源を切ったりして集中できる環境を整えましょう。
⑥読書アプリを活用する
読書を習慣化させるためには、読書アプリの活用もおすすめです。
例えば「ブクログ」という読書記録アプリなら、ランキングや新刊など本の情報が充実していますし、バーコードを読み取ることで本を簡単に検索できます。特に何から読めばいいのかわからない方は、ブクログなどの読書アプリの活用がおすすめです。
また、「蔵書マネージャー」は、フォルダ機能があるアプリです。例えばジャンルごとで本を分類してこれまでに読んだ本を整理できるため、とにかく本を細かく管理して見やすくしておきたいという方は活用してみてください。
その他にも「読書メーター」もおすすめです。読書メーターは、読み終わった後にネット上の読書仲間と意見交換や感想会などができるアプリです。一人では心細い方でも、仲間と交流できればモチベーションも保てる可能性があります。SNSみたいに本が好きな人等と交流したいと思っている方は活用について検討してみてください。
⑦常に本を持ち歩く
常に本を持ち歩くことで、待ち時間や移動時間などの空き時間も有効に活用することができます。特に外にいる時間が長い人で、読書を習慣化させたいと感じているなら、常に本を持ち歩くことも検討してみてください。
また、常に本を持ち歩くことは、いつでも読書ができる環境を作り上げることができます。本を見るたびに読書を思い出し、読書へのモチベーションが高まる効果もあるため、持ち歩くことも習慣化のためには大切なことの一つと言えます。
ただし、持ち歩く際には分厚い本だと負担が大きくなってしまいますので、できれば負担のない本をセレクトすることも重要です。
⑧タイマーを利用する
集中力が続かず読書が習慣化できない方は、タイマーの利用を検討してみてください。タイマーをセットし、一定の時間を読書に費やすことは集中力を高める効果があると言われています。
例えば、タイマーを15分にセットし、タイマーが鳴ったら5分休憩するといったように、メリハリをつけることで集中力を高められます。
一度に集中して1時間、2時間読書をすると疲労も溜まりますし、集中力が途切れてしまうため、特に慣れていない人はメリハリをつけましょう。
読書を習慣化することで得られるメリット10選
読書を習慣化できれば、新しいアイデアや価値観を得られたり、生き方のヒントを得られたりとさまざまなメリットがあります。
読書を習慣化することで得られるメリットについては、下記の記事でも詳しく紹介しているので参考にしてみてください。
どうしても読書習慣が身につかない場合の対処法
これまで紹介した内容を試しても読書が習慣化されないと悩んでいる方は、別の対処法を試すのもおすすめです。
ここでは読書に変わる便利なサービスとして、3つ紹介します。どうしても身につかないという方は、ぜひ試してみてください。
聞く読書「audiobook.jp」の活用
オーディオブックとは、書籍やテキストなどを読み上げるオンライン上の音声コンテンツです。オーディオブックのサービスは幅広くありますが、その中でも人気があるのが「audiobook.jp」です。
「audiobook.jp」とは、プロのナレーターや声優が書籍を読み上げてくれる「耳で聴く本」です。耳で聴けることで、普段忙しい方や、何かしながら読書をしたいと考えている方にとって便利なサービスとなっています。
また、「audiobook.jp」はオフライン再生も可能です。スマホの通信制限等が気になる方でも問題なく使用することができ、通勤通学の移動中や、作業中などでも本を楽しむことができます。
読書習慣を効率的に身につけられると話題のサービスの一つとなっているので、読書の効率を良くしたいと考えている方は、活用について検討してみてください。
「audiobook.jp」の料金について、「1冊ずつ料金が発生するの?」と思われている方も多いかもしれませんが、月額プランとなっており、月々1,080円で読み放題です。さらに、年割プランでの利用であれば、29%オフの月々767円で利用できます。
本を1冊ずつ購入する方法に比べてもコストパフォーマンスに優れていますし、幅広い種類を扱っていることからも人気の高いサービスです。
聞く読書「Audible(オーディブル)」の活用
先ほどは「audiobook.jp」について紹介しましたが、「Audible(オーディブル)」についても聴く読書であることは変わりありません。
基本的には「audiobook.jp」と同じく、「Audible(オーディブル)」もプロのナレーターや声優が書籍を読み上げてくれるサービスです。
両者の違いについて説明すると、真っ先に上げられるのが料金です。「audiobook.jp」は月々1,080円に対し、「Audible(オーディブル)」は月々1,500円に設定されています。
ただ単に料金が異なるだけではなく、1,500円に設定されているのには訳があります。それは「Audible(オーディブル)」は充実したラインナップがあり、12万冊が対象となっていることです。
読める本のラインナップが幅広いのはワクワクしますし、1,500円の価値はあると言えるでしょう。
「Audible(オーディブル)」と「audiobook.jp」でお悩みの方は、料金重視なら「audiobook.jp」を、ラインナップ重視なら「Audible(オーディブル)」の基準で検討してみてください。
本要約サイト「flier(フライヤー)」の活用
「flier(フライヤー)」とは、本の要約サービスの一つで、専用ライターがまとめた1冊10分程度の要約を読むことができます。
主にビジネス書が中心となっておりますので、ビジネスに関する情報を効率よくインプットしたい方におすすめのサービスです。
「flier(フライヤー)」の料金はプランによって異なり、詳しくは下記の通りとなっています。
- フリープラン(無料):無料要約本20冊前後読み放題
- シルバープラン(月々550円):無料要約本+有料要約本5冊
- ゴールドプラン(月々2,200円※学生は月々880円):すべての要約が読み放題
上記が「flier(フライヤー)」の料金詳細ですが、フリープラン、シルバープランはどちらも制限があります。ストレスなくビジネス書をインプットしたいと考えているならゴールドプランがおすすめです。
まとめ
今回は読書を習慣化させるための方法について詳しく紹介しました。習慣化できていない方は、何が原因か突き止め、対策をすることで習慣化させることができるでしょう。
この記事ではさまざまな対策方法を紹介しましたが、もしそれでも対策ができないのであれば習慣化のサポートをしてくれる「Audible(オーディブル)」「audiobook.jp」「flier(フライヤー)」などのサービスがおすすめなので、それらも活用しながら読書の習慣化を目指してみてください。