自尊心とは、自分自身を大切にする気持ちや、自分には存在価値があると感じることができる気持ちのことを指します。
自尊心が高い人は、自分自身を受け入れられることで、自信を持って行動することができますが、自尊心が低い人は、自分自身を否定的に見る傾向があり、自分に自信が持てないなどの心理的問題に悩んでしまう場合もあります。
ここでは、自尊心の本来の意味や、自尊心が高い人・低い人との付き合い方、自尊心を高めるための方法を解説します。自尊心の低さに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
自尊心とは?本来の意味と使い方を分かりやすく解説
自尊心の本来の意味
自尊心とは、自分を大切にする気持ちや、自分で自分のことを肯定することができ、自分には存在価値があると感じることができる気持ちのことを指します。
自尊心が高い人は、自信を持って自分自身を認め、自分の良いところや自分ができることを見つけることができますが、自尊心が低い人は、自分自身を否定し、自己批判的であることが多いとされています。
「プライド」との違い
「自尊心」と「プライド」は、似たような意味を持つ言葉ですが、意味合いが少し異なります。まず、「自尊心」とは、自分自身を認め、尊重し、自信を持って行動することができる能力のことを指します。
一方「プライド」は、自分自身が持っている優れた特性や業績、地位などを誇りに思う気持ちや、他者からの評価に対する自分自身の自負心を表す言葉です。
つまり、「自尊心」は自分自身への自己肯定感、そして「プライド」は自分自身の成果や能力に対する誇りや自負心を表します。
自尊心の使い方と例
それでは「自尊心」という言葉はどういった場面で使われるのでしょうか。ここでは「自尊心」を使った言葉と例文を3つご紹介します。
自尊心を傷つけられる
相手から否定的な批判やいじめを受けると、自尊心が傷つけられてしまう場合があります。
【例文】
前任者からの厳しい評価により、自尊心が傷ついてしまった。
学校で友達からいじめを受けたことで、自尊心が傷ついてしまった。
自尊心を満たす
「自尊心を満たす」とは、他人の自尊心を刺激し、自己肯定感を高めることを指します。
【例文】
先生に褒められたことで自尊心を満たすことができた。
自尊心を持つ
「自尊心を持つ」には、「もともと持っていなかった自尊心を意識的に抱く」という意味合いがあります。自分で自分を大切にし、肯定できるよう、意識を変える行為を指します。
【例文】
自尊心を持つことで、他人からの批判や嫌な言葉にも立ち向かえるようになった。
自尊心が高い人とは?
それでは、自尊心の高い人とはどういった特徴があるのでしょうか。ここでは自尊心が高い人の特徴を解説します。
自尊心が高い人の特徴
自分の軸があり他人に流されない
自尊心の高い人は、自分自身についての考え方や価値観が確立されており、それを周囲の人にも伝えることができるとされています。
他人と違う意見であっても「自分はこうしたい」という考えを持っており、自分の意志で決断することができます。
他人と比べない
自尊心の高い人は自分軸で生きているため、たとえ他人をうらやましいと思っても、自分なりに頑張ろうという前向きな行動に切り替えることができます。自分自身に対してポジティブな評価を持ち、自分の強みや弱みを受け入れ、自分らしく生きることができるのです。
責任感が強い
自尊心が高い人は、自分に対して恥じない行動をしようという気持ちから、何事もいい加減に済ませてしまうことが許せず、手を抜かずに取り組みます。そのため、自分が担当する仕事や任務に対しても責任感が強い傾向にあります。
一方で、完璧主義に陥りやすく、過度なプレッシャーを感じたり、自分で抱え込みすぎることがあるとされています。
失敗をしても、すぐに気持ちを切り替えられる
自尊心が高い人は、自己肯定感に基づく自信があるため、失敗をしても自分自身を否定するような感情に陥らず、すぐに立ち直ることができる傾向にあります。
また、失敗を多角的に捉え、改善するための策を立てることができます。
上昇志向があり、積極的にものごとに挑戦できる
自尊心が高い人は、自分自身に自信があり、自分の言動や才能に自信を持っている傾向があります。そのため、上昇志向が強く、自己実現欲求や成長欲求が強いとされています。
また、失敗をしても、気持ちの切り替えが早く、積極的にものごとに挑戦することができるため、学業や仕事に前向きに取り組む人が多いと言われています。
自尊心が高すぎる人との付き合い方
自尊心が高い人は「自分の意見を主張できる」「責任感が強い」といった良い面もありますが、自尊心が高すぎると自分勝手で周りの人を振り回してしまうこともあります。
ここでは、自尊心が高すぎる人とうまく関わるための付き合い方をご紹介します。
真っ向から否定しない
自尊心が高すぎる人は、自分の考えを他人に否定されることを嫌う傾向にあります。
批判したり真っ向から否定したりするのではなく、相手の価値観や感情を理解し、一度受け入れたうえで自分の意見を伝えるように心がけましょう。
適度に本人に任せる
自尊心が高い人は責任感が強く、難易度の高い仕事であったとしても最後まで成し遂げようとします。
その際には、人に頼ることを好まない傾向にあるため、むやみに手伝おうとすると意固地になって断られてしまうこともあります。
自尊心が高い人にとっては、他人からの軽率な同情や手伝いが、逆に自尊心を傷つける行動になってしまう場合があります。
敬意を払いながら会話をする
自尊心の高い人は冗談でも周囲から笑われることを嫌います。
自尊心の高い人と関わる際には、相手に敬意を払いながら会話をすることを心がけるようにしましょう。
自尊心が低い人とは?
それでは、自尊心が低い人はどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、自尊心が低い人の特徴を6点解説します。
自尊心が低い人の特徴
他人を気にしすぎる
自尊心が低い人は、周りの人の評価を気にしすぎる傾向があります。自分自身に対する自信がなく、他人からの評価に過剰に反応するため、周囲の人にどう思われているかを常に気にしすぎて、自分らしく行動できなくなることがあります。
ネガティブな思考になりやすい
自尊心の低い人は、ネガティブな思考にとらわれやすい傾向があります。
自分自身を客観的に見ることができないため、自分自身の長所よりも短所にばかり注意が向いて「自分はダメな存在だ」と感じてしまうのです。また、ネガティブな出来事については、過度に悩み、自分に責任があると感じたり、将来に対する不安が強くなったりすることがあります。
自分から行動することが苦手
自尊心の低い人は、自分の価値を低く評価しているため、自分から行動することに対して不安を感じることが多いです。また、失敗することを恐れたり、他人から否定されることを恐れたりすることが多く、自分から行動することをためらうことがあります。
周りと比較しやすい
周りと自分を比較したり、人が評価されているのを見たりして落ち込んでしまうことも自尊心が低い人の特徴の一つです。
周りの人が自分より優れていると感じると、「自分はあの人のようにできない」といった自己否定的な考え方に陥ってしまうことがあります。
すぐに諦めてしまう
どんなことでも始める前から「自分にはできない」と思ってしまい、すぐにあきらめてしまうことも、自尊心が低い人の特徴です。
自分自身を十分に肯定できず、自分の能力を過小評価してしまうため、チャレンジしても意味がないと思い込んでしまうのです。
人の意見に流されやすい
自尊心の低い人は、自分に自信がなく、他人の評価や期待に敏感に反応します。
そのため、自分一人で決断することを苦手に感じ、他人に流されやすい傾向にあります。
自尊心が低い人との付き合い方
近年、諸外国と比べて日本人は自尊心が低いことが、たびたび問題として挙げられています。あなたの職場や友人にも、自尊心が低いことに悩んでいる人がいるかもしれません。
ここでは、自尊心が低い人とうまく付き合う方法をご紹介します。
ネガティブな感情を否定しない
自尊心が低い人に対して、ポジティブな姿勢を強要することは逆効果となってしまう場合があります。
ネガティブな感情を完全に否定するのではなく、まずは受け入れることが大切です。
過度な励ましは避ける
相手の気持ちに寄り添い、励ましや肯定的な言葉をかけることは大切なことです。ただし、「もっと頑張れ」といったような過度な励ましは、相手にプレッシャーをあたえ、劣等感を感じさせてしまう場合があります。
過度な励ましを相手に押し付けるのではなく、まずは相手の話をじっくり聞くことから始めましょう。
相手をほめる時は具体的な根拠を提示する
自尊心の低い人をほめるときは、注意が必要です。自尊心が低い人は、自分自身を否定的に評価していることが多いため、漠然と褒められても素直に受け入れられないことがあります。
例えば、「よくがんばりましたね」という褒め言葉よりも、「このプロジェクトでのあなたのこの行動が良かった」という具体的な内容のほうが、自尊心の低い人には受け入れやすいです。
相手の気持ちに飲み込まれて感情的にならない
自尊心が低い人は自分自身に対して不安や不満を持っていることが多く、その気持ちが表に出てしまうことがあります。相手につられて自分の思いを感情的にぶつけてしまったり、自分の気持ちまで不安定にならないように注意するようにしましょう。
自尊心が低い人が自尊心を高めるには?
それでは、自尊心が低い人が自尊心を高めるためにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは、自尊心が低くなる原因と、自尊心を高める方法を解説します。
自尊心が低いことに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
自尊心が低くなる原因
自分の意見が否定される経験
自分の意見が否定されると、自分自身が価値が低いと感じてしまい、自尊心が低下してしまいます。また、意見が否定され、自分の意に沿わない行動をしなければならない状況になることで、自分自身が無力な存在だと感じてしまい、自尊心が低下することがあります。
過去の失敗体験やミス
過去の失敗体験やミスが原因で自尊心が低くなるケースもあります。
失敗体験によって、自信を無くしてしまい、自分を過小評価するようになるのです。
また、失敗体験がトラウマになり、新しいことに挑戦するのが怖くなってしまう場合もあります。
自分より優秀な人の存在
自尊心が低くなる原因の一つに、自分より優秀な人の存在が挙げられます。これは、自分と相手を比較して劣等感を感じることによって、「自分はダメな人間だ」と自分自身を否定的に評価してしまうためです。
家庭環境
子供の時からの家庭環境は、自尊心に大きな影響を与えます。親からあまり褒めてもらえなかったり、否定されることが多いと、子供は自分を信じられなくなり、自尊心が低くなる可能性があります。
自尊心を高める方法
自分の成功体験を振り返る
自尊心を高める最も基本的な方法は、自分自身を認めることです。過去の自分の成功体験や、頑張った経験を振り返り、自分が成し遂げたことを認めることで、自分自身を肯定することができます。
目標・目的を意識する
自分自身にとって適切な目標を設定し、それを達成するために努力することで、自己実現感を得ることができます。
目標設定は「仕事のスキルを伸ばしたい」といった長期的な目標だけでなく、「毎日10分筋トレをしよう」といったような1日ごとに達成できるような小さい目標も効果的です。
他人と比べない
自分と他人を比べてしまうと、自分自身の評価が低くなり、自尊心が低下してしまう場合があるため、他人と比較することに固執するのではなく、自分自身の成長を目指すことが大切です。
自分が過去よりも成長していることに焦点を当てることで、自分自身に自信を持つことができます。
そのままの自分を受け入れる
自尊心を高めるためには、自分自身を肯定的に評価し、自分の良いところも悪いところも、どちらとも受け入れることが大切です。
また、自分の短所をリフレーミングすることもおすすめです。リフレーミングとは、物事をとらえる枠組みを変えて違った見方をすることです。例えば「優柔不断」は「思慮深い」、「落ち着きがない」は「行動力がある」など、短所も見方を変えれば長所になります。
他人から無理に好かれようと思わない
出会う人全員から好かれようとすると、相手の反応を気にしすぎて、自分自身を犠牲にしてしまいがちです。
時には他人から嫌われてもいいと割り切り、自然体の自分で過ごすことも大切です。
まとめ
自尊心は高くなければならない、低くてはいけないというものではありません。とはいえ、自尊心を高め、自分自身を肯定することは精神的に健康な状態を維持する上で重要でもあります。
自尊心が低く、つらいと感じている方は、まずは自分自身の良いところに目を向け、少しずつ考え方を変えてみることから始めるとよいでしょう。