学び直しという言葉をよく耳にするものの、広義・狭義それぞれ使われている場面によって範囲が変わってくる言葉であり、単純に使ってしまうと自他の認識に齟齬が出てしまう場合があると思います。この記事では、様々な意味合いを含む学び直しの意味を整理して皆さんにお伝えしようと思います。
学び直しの意味には大きく分けて2つの意味がある
学び直しという言葉は非常に大きな言葉であいまいな表現ですが、大きく2つの意味合いに分類されます。
1つ目の意味合いは、これまで持っていなかった新しい知識を習得すること。2つ目は、現在持っている知識のアップデートを図り、軌道修正・ブラッシュアップしていくこと。大きくこの2つに分けて説明していきます。
「リカレント教育」について
まず、1つ目の意味合いを深堀すると、ここ数年よく耳にする「リカレント教育」がそれに当たります。政府広報オンラインでは「リカレント教育」を下記のように定義しています。
「リカレント(recurrent)」とは、「繰り返す」「循環する」という意味で、リカレント教育とは、学校教育からいったん離れて社会に出た後も、それぞれの人の必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すことです。
政府広報オンライン
今の時代は、長年続いてきた日本特有の終身雇用も保証されなくなり、働き方も人それぞれ多種多様な時代です。新しいことにチャレンジし、新しい分野・知識を身に着けることは、人生の幅を広げることにつながるため、リカレント教育が注目されています。
「リスキリング」について
2つ目の意味合いは、「リスキリング(Reskilling)」です。経済産業省が定義付けたリスキリングの意味は下記のとおりです。
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること
経済産業省 リスキリングとは
近年はDX化・AI化が進み、仕事で求められるスキル・知識は刻一刻と変化を続けています。そのような中で仕事を続けていくためには、機械的にできる作業・業務は自動化され、機械化・自動化するためのプログラムを構築するエンジニアに知識やプログラムを管理するスキル・知識が求められるなど、仕事が変わっていくことが想定されます。
このように学び直しには、新規能力開発を意味するリカレント教育と既存知識のブラッシュアップ・アップデートを意味するリスキリングの意味が内包されているということです。
学び直しが注目されているわけは?
リカレント教育やリスキリングなどのキーワードが生まれ、注目されている背景・要因は様々ありますが、下記のような背景が挙げられます。
注目される背景①:寿命が延びたことによる高齢化
医療の発達により人間の平均寿命が延び、人生100年という本も出て話題になりました。
65歳で定年退職し、その後の余生を働かずして過ごすには2,000万円必要だ、という話も有名です。ただ、人生100年とした際、65歳で引退した場合、残り35年を2,000万円では過ごしていけない。つまり65歳で定年退職し、仕事をしなくなってしまっては寿命が延びた現代では生活が立ち行かなくなってしまうことが想定されます。
注目される背景②:IT技術の進歩による仕事の変化
コロナ禍において、人との物理的な距離を取らざるをえなかった時期に世の中は一気にデジタル化が進みました。デジタル化に合わせて、求められる仕事には大きく変化しました。
例えば、DX化、AI化といった言葉が飛び交っていますが、日本の会社は多くが老朽化したレガシーなシステムを導入していることから、これを刷新するためのITエンジニアのニーズ・市場価値が高まり、高い年収が見込める職種として人気職種になっています。
営業職は対面での営業活動ができなくなり、web会議が増え、対面での営業を得意としていた営業担当は苦戦したでしょう。基本的なMicrosoft Officeソフト(Word、Excel、PowerPointなど)の使い方やGoogle meet、Microsoft Teams、slackなど様々なwebツールへの急激な慣れも求められたはずです。
また、コロナが要因で伸びたとは言い切れないものの、YouTube、Twitter、Instagram、TikTokを使ったSNSマーケティングが伸長し、インフルエンサーや動画編集者の需要が高まりを見せており、近年だけでも職種は時代に合わせて変化を見せています。
時代の変化に合わせて求められるスキルは変化していく
つまり、当たり前かつ普遍的なことではありますが、時代の変化に合わせて求められるスキルは変化していきます。時代の波に飲みこまれずに、波を乗りこなすためにはその時代の中で求められているスキルを都度身に着けていかなければなりません。
新たに身に着けるべきスキルは、これまで持っていた知識とは異なる分野かもしれませんし、現在持っている知識のアップデートでも事足りるかもしれません。いずれにせよ、若手、中堅、高齢層問わず、リカレント教育・リスキリングという学び直しの考え方を持ち、生きていくことが求められるということです。
学び直しの時間を無駄しないようにするにはどうすれば良い?
ここでは、学び直しという言葉の整理と、話題になっている背景を簡単に紹介してきました。学び直しについて調べている方は、学び直しの重要性は充分に理解されており、実際に学び直しを始めている方も多いかと思います。
ただ、新たに学んだ知識やスキルが思ったように仕事に活かせず、時間を無駄にしてしまったと感じた方も多いのではないでしょうか?そのような状況に陥ってしまうと学び直しに対してのモチベーションが維持できなくなってしまうかもしれません。
スタディジャーナルでは、ビジネスパーソンが仕事で成果を上げるための学び直しについて様々な観点から記事で情報発信していきます。ぜひご一読いただき、参考にしてみてください。