職場では上司や同僚など一日の中でもたくさんのコミュニケーションを当たり前のように取っているでしょう。スムーズに物事が進む場合もあれば、ストレスをためる原因にもなっているはずです。
この記事では、誰もが日々の業務で直面する「コミュニケーションに関するストレス」に焦点を当て、その原因や影響を紹介し、軽減するための方法を探っていきたいと思います。
あなたがもし職場でのコミュニケーションによるストレスで悩んでいるなら、この記事がお役に立てるはずです。
最後には、ストレスの軽減に役立つ書籍も紹介しますので、さいごまで読んでみてください。
職場のコミュニケーションで感じるストレスの原因は?
この記事を読んでいる方は少なからず、職場でのコミュニケーションにストレスや不満を持っているのではないでしょうか?
厚生労働省が令和3年に行った実態調査「令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況」の結果を見ると、共感できる部分があるかもしれません。
その内容を元に職場コミュニケーションで感じるストレスの原因を紹介していきます。
※参考:「令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況」(厚生労働省)
※参考:「労働時間やメンタルヘルス対策等の状況」(厚生労働省)
「仕事の量・質」によるストレス
調査の結果から、職場におけるストレスの原因の多くは、「仕事の量・質」が大きな影響を与えているようです。ストレス要因としては一番高い56.7%となっており、これは、過剰な仕事量であったり、求められるクオリティが高いことが主な要因のようです。
「仕事の失敗、責任の発生等」によるストレス
次いで多いストレス要因は、「仕事の失敗、責任の発生等」でその割合は35.0%。これは、ミスや失敗に対して過度に自分を追い詰めてしまっているなど、責任感の強さから来るものがストレス要因になっているようです。
「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」によるストレス
「対人関係」に起因するストレスも無視できません。「セクハラ・パワハラを含む対人関係」によるストレスの割合も27.0%と大きなストレスになっています。ハラスメントという言葉が叫ばれて久しいですが、いまだに職場での不適切なコミュニケーション、人間関係のトラブル、いじめや嫌がらせなどは多いようです。
上司と部下の間でのコミュニケーションも含まれており、調査によると、一般社員は「言っても聞いてもらえない」「反論されるのが嫌だ」「忙しそうで気が引ける」といった理由でコミュニケーションを避けてしまうようです。
ここでは取り上げていませんが、他にも、「会社の将来性が心配」「顧客、取引先からのクレーム」「役割・地位の変化等(昇進、昇格、配置転換等)」、「雇用の安定性」などさまざまなストレスが調査結果として出ていました。
職場で感じるコミュニケーションのストレスを放っておくとどうなる?
職場コミュニケーションでのストレス要因をさまざま紹介しましたが、あなたも同じようなストレスをお持ちでしたか?
これらのストレスを抱えたまますることは決して健全ではありません。すぐに改善・軽減していただきたいと思いますが、もし仮に抱えているストレスをそのままにしてしまったらどうなるか、個人の目線と職場での目線でそれぞれお話ししていきます。
メンバー目線での悪影響
メンタルヘルスの不調
ストレスはメンタルヘルスの不調につながってしまいます。仕事をしっかりとこなせない、自分にはできない仕事だ…、などさまざまな不安や孤立感、寂しさなどのストレスが増すこと、日常生活におけるストレス耐性が下がってしまい、うつ病などのメンタルヘルスの問題が発生するリスクにつながります。
モチベーションの低下
職場での対人関係が上手くいかなくなると、孤立感や寂しさなどのストレスを感じやすくなってしまいます。それが結果的に仕事に対するモチベーションの低下に繋がってしまうでしょう。一度モチベーションが下がってしまえば、チーム内で孤立してしまったり、仕事の効率も生産性も下がってしまうので、更に仕事へのモチベーションが下がるなど悪循環に陥ってしまいます。
組織・チームへの悪影響
チーム全体の生産性や効率が低下してしまう
先ほど紹介したようなメンバー単位での悪影響は、そのメンバーが所属している組織・チームにも影響が出てしまいます。
本来、チームの目標に対してチーム内のメンバーが連携して遂行していたことを、1人のモチベーションが低下しているメンバーがいることで、トラブルやミスが発生してしまうと、チーム全体の機能が止まってしまうことになります。
トラブルやミスへの対応が増えてしまうことで、本来やるべきことができなくなったり、新しいアイデアが生まれなくなるなど、チーム全体が機能不全を起こしてしまいます。
退職する人が増えてしまう
先のようにチーム全体の生産性や効率が下がると次に起きうるのは、退職するメンバーが出てきてしまう可能性が高まるということです。
1人のメンバーがモチベーションが低い状態で働いていることで、他のチームメンバーにもそのストレスが波及してしまい、離職率が高まってしまうでしょう。
コンプライアンス違反のリスク
退職するだけでなく、コンプライアンス違反をするメンバーが出てくる可能性も高まります。
チームとしての機能が上手くいっていないチームの中では、自身の個人目標やチーム目標を達成するために、社内で守るべき社会的ルールを守らない人も出てきてしまう可能性が高まります。
ストレスが積もっていくことで、ものごとの良し悪しの判断ができない状況にまでなってしまう可能性があるので注意が必要です。
顧客やクライアントからの信頼が低下してしまう
このような状況になったチームにおいては、当然、顧客やクライアントへ提供するサービスも質が良いものとは言えなくなってくるでしょう。
顧客やクライアントへ提供するサービスの質が低下すれば、当然信頼を失うことになりますので、顧客やクライアントを失ってしまうでしょう。
職場のコミュニケーションで感じるストレスを軽減する方法は?
ここまでは職場コミュニケーションでのストレスを放っておいてしまうと、さまざまな悪循環が生まれてしまうことを説明してきました。
このような結果は、どんな人も企業も望んでいない状況だと思います。
そのため、ここでは、ストレスを抱えている人自身が改善のためにできることや、仮に職場にそのような人がいるチームが取れる対策などについて紹介していきます。
自身が実践できる改善方法
ストレスを感じた時には、冷静に自分を俯瞰してみる
やはりストレスの多くはネガティブな思考から生じることが非常に多いです。
一度ネガティブな思考に入ると、人はなかなかネガティブな思考から抜け出せなくなってしまいます。
それを避けるために、自身はどんなことにストレスを感じてしまうのか、自身の思考パターンを認識してみましょう。
ネガティブに働きがちな思考パターンを、一歩引いて俯瞰してみることで、冷静に考えることができるようになるはずです。冷静になることで、ストレスに感じていたことが、大してストレスに感じることもないことだった可能性もあるでしょう。
ストレスを感じた時には、冷静に一歩引いた目線で自身を捉えるようにしましょう。
自分の行動を変える
自分自身の問題がストレスの要因になっている場合もあるかもしれません。
例えば、上司から頼まれた仕事が期日通りに完了できなかったことで、上司に叱られた場合です。これは完全に自身に非があり、上司から叱られても当然なことです。
もし、このようなことでストレスを感じているのであれば、自身の行動を変えるように心掛けましょう。
仮に仕事の量が多すぎて終わらなかったのであれば、事前に上司に相談をし、仕事の量を前もって調整してもらうようにアプローチするなど、できることはさまざまあるはずです。
ストレッサー(ストレス源)への対処の仕方を変える
中には、自身を変えるだけではどうしようもないこともストレスの要因になっていることもあるでしょう。そんな場合は、ストレス要因への関わり方を変えてみましょう。
例えば、チームの中で協力して仕事を進める必要がある人のモチベーションが低く、仕事に支障をきたしている場合を挙げてみます。
2人で協力して仕事を進める必要があるために、何とかモチベーションを上げるために努力をしたり、1人で2人分の仕事をしようとすると、それはストレスになってしまうでしょう。
そんな時には、チームの上司に事情を相談するなどして、状況を変えてもらうような働きかけをする方が健全でしょう。
ストレスが溜まっているときは、目の前のことで精いっぱいになってしまうことが多いので、周りに協力を仰ぐなど、対処方法を一歩引いて考えてみると良い結果につながるでしょう。
職場ができる改善方法
ここまでは個人でストレスを軽減する方法を紹介しましたが、組織やチームとしてできることを紹介していきます。もし、ストレスを抱えているかもしれないメンバーがチームメンバーにいる場合は参考にしてみてください。
気軽に相談できる環境を整え、コミュニケーションの活性化を図る
コミュニケーションが取れていないことが原因でメンバーのストレスが溜まっていることが多いため、組織やチームの中で、しっかりと意思疎通が図れるような環境を整えてあげましょう。
各メンバーの状況をキャッチアップできるよう1on1ミーティングを定期的に行ったり、定例のMTGでは、メンバー同士でのアイスブレイクを挟むなど、上司・部下のコミュニケーションがスムーズに進むような工夫をしてみましょう。
職場環境の改善
人によっては、オフィスで働く方が雑談ができて、リフレッシュしながら働くことができるので働きやすいという人もいれば、リモートワークで周りの話し声を気にせず、もくもくと仕事をしたいという人もいます。
それぞれにとって働きやすい環境は異なりますので、会社内のルールの範囲内で、メンバー毎の働きやすい環境を整えてあげましょう。
私の前職では、フリーアドレスを取り入れることで、今まで話す機会が無かった人と話す機会が生まれて、コミュニケーションが活発になったというポジティブな要素もありました。
職場環境の改善を図ることで、コミュニケーションのストレスを軽減できるので、検討してみてください。
コミュニケーションでのストレスを軽減するための考え方が身につくおススメの本
ここまでは、職場のコミュニケーションで感じるストレスを軽減するための方法について、個人目線・職場目線で紹介してきました。
さらにもっとストレスを減らす方法を知りたい方のために、おススメの書籍を探してきました。こちらの書籍も参考にしてください。
『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(樺沢 紫苑氏)
『精神科医が教える ストレスフリー超大全』は、精神科医である樺沢紫苑氏による書籍で、人間が抱える「人間関係」「プライベート」「仕事」「メンタル」「健康」という5つのテーマに対する「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」を教えてくれる1冊です。
『「考え方のクセ」を変えるとストレスはなくなる』(清水 栄司氏)
『「考え方のクセ」を変えるとストレスはなくなる』は精神科医である清水栄司氏による書籍で、認知行動療法を応用し、自分で「考え方のクセ」を変えて、ストレスを減らし、心身の健康を保つ方法を紹介しています。その他、自分では気づかない「考え方」のゆがみから起こる心の病を防ぐための具体的な方法を教えてくれる1冊です。
『ストレスが消える朝1分の習慣』(西多 昌規氏)
『ストレスが消える朝1分の習慣』は、精神科医である西多昌規氏による書籍で、毎朝起こる「脳の時差ボケ」を治すための習慣を紹介しています。
朝から頭をスッキリさせ、体を軽くする方法や、一流の人が「朝1分の習慣」でストレスを消し、ハイパフォーマンスを実現する方法も書かれており、実践しやすい内容が書かれた1冊です。
『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』(鈴木 祐氏)
『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』は、鈴木祐氏による書籍で、日々の生活の中で感じるストレスを解消するための100の科学的メソッドを紹介しています。
この本で紹介しているテクニックはすべて、ハーバードやスタンフォードなどの一流の研究機関が実証したもので、欧米の企業や学校などがストレス対策に取り入れ、実際に高い成果を上げている最先端の技法だけをピックアップしており、レビューでの評価も高い1冊です。
『世界のエリートがやっている最高の休息法』(久賀谷 亮氏)
『世界のエリートがやっている最高の休息法』は、イェール大学で学び、米国で18年診療してきた精神科医、久賀谷亮氏による書籍です。
「脳疲労」がすぐ消えて、頭が冴える究極の休息メソッドを紹介しています。アイドリング状態でも勝手に疲労を溜めてしまう脳を「科学的に正しい休ませる方法」を教えてくれるため、ストレスを軽減し、集中力や行動力を高めることができるでしょう。
全体のまとめ
この記事では、職場でのコミュニケーションのストレスがなぜ発生するのか、その改善方法などを紹介してきました。
コミュニケーションは受け手がどのように受け取るかで、大きく変わってきます。そのため、ストレスを感じているということは、受け手である自分自身の受け取り方を変えることで、ストレスを軽減することができるようになります。
周りの人が原因でストレスが溜まっていたとしても、自身の受け取り方や捉え方を変えることで、ストレス量は減らせるはずです。
まずは自身の捉え方を変えてみることで、ストレスの感じ方に変化が無いか観察してみてください。
もし、自身の意見を主張することが苦手に感じている方が読者にいるのであれば、アサーティブコミュニケーションという、「自分自身への尊重と他者への尊重のバランスを保ちながら、自分の意見や感情を適切に表現し、伝えるコミュニケーションスタイル」という記事も書いています。
そちらの記事も参考にしてみてください。