自分の意見を伝えることが苦手な人に知ってほしい!アサーティブコミュニケーションとは?

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最近、アサーティブコミュニケーションという概念が注目されています。

アサーティブコミュニケーションとは、自分自身への尊重と他者への尊重のバランスを保ちながら、自分の意見や感情を適切に表現し、伝えるコミュニケーションスタイルのことです。

この記事では、アサーティブコミュニケーションの概要やメリット、身に着けるためのポイントを解説します。周りの人へ気遣いをし過ぎることで、自分自身をうまく表現できない、伝えることができずモヤモヤしている方もいるはずです。

そんな方にこの記事が役立つことを願っています。

アサーティブコミュニケーションとは?

アサーティブコミュニケーションとは、冒頭の通り、「自分の意見や感情を率直に表現する」ことと「相手の意見や感情を尊重する」ことのバランスを保ちながら、コミュニケーションをとるスタイルです。

自分の意見や感情を押し付けたり、一方的に主張したりすることはありませんし、相手の意見や感情を否定したり、無視したりすることもありません。

アサーティブコミュニケーションの目的は、対人関係における摩擦を減らし、相互理解と協力を促進することにあるため、アサーティブなコミュニケーションができるようになれば、以下のメリットが得られます。

アサーティブコミュニケーションのメリット
  • 人間関係を円滑に保つことができる
  • 自分の意見や感情を尊重されるようになる
  • 自己肯定感が高まる
  • 仕事や勉強のパフォーマンスが向上する

つまり、心にモヤモヤを抱えずに、気持ちよく生きることができるということですね。

そもそも「アサーティブ」とはどんな意味なのか?

「アサーティブ」という言葉は、ラテン語の「assertum」から派生しており、「主張する」という意味になります。

アサーティブな人というのは、このような特徴があります。

  • 自分の考えや感情を明確に表現できる
  • 相手の意見や感情を尊重できる
  • 適切な対話の手段を選択できる
編集部
編集部

アサーティブコミュニケーションができる人は、とても魅力的な人というのがイメージできますね。

アサーティブコミュニケーションの定義

冒頭でも説明していますが、改めてアサーティブコミュニケーションの定義をご紹介しておきます。

「アサーティブコミュニケーションとは、自分自身と他人を尊重し、自分の考えや感情を正直に、かつ建設的に発言することにあります。それは、自分の権利を主張することだけでなく、他者の権利や意見も認めることに基づいています。」

コミュニケーションの取り方には3種類ある

ここまでアサーティブコミュニケーションについて話をしてきましたが、そもそも、コミュニケーションのスタイルは大きく分けて3種類存在します。

それら3つとは下記の通りで、それぞれが異なる特徴を持っています。

  • アグレッシブ
  • アサーティブ
  • ノンアサーティブ

この後、それぞれの特徴を説明していきますので、自分自身がどのタイプに当てはまるか、気に掛けながら読み進めてみてください。自身のタイプやその特徴を知ることで、自身の理解を深め、必要であれば改善する手助けになるはずです。

アグレッシブタイプ(攻撃的な自己表現)

アグレッシブなコミュニケーションを取る人たちは、自己の意見を強く主張しがちです。アグレッシブなタイプの人たちは自己の目的を達成することを最優先にし、時に周りの人の感情や意見を軽視してしまう傾向があります。

アグレッシブタイプの傾向
  • 強い口調で話す
  • 命令的な言葉遣いを使う
  • 相手を非難する

アグレッシブなタイプの人たちは自分が正しいと信じて疑わず、対立を恐れず、しばしば相手に圧力をかけて自分の意見を受け入れさせようとします。

これは短期的には効果があるかもしれませんが、長期的には関係の悪化や信頼の喪失につながる可能性があるため、相手に寄り添ったり、感情をコントロールする方法を知る必要があるでしょう。

アサーティブタイプ

アサーティブなコミュニケーションを取る人々は、自分の意見をしっかりと主張しながらも、他人の権利と意見を尊重するバランスを保つことができます。

彼らは、自分の意見を明確に伝えるとともに、相手の意見にも耳を傾ける姿勢を大切にします。そのため、良好な人間関係を築きながら、自分の目標を達成することにもつながります。

アサーティブタイプの傾向
  • 自分の意見や感情を相手に誤解されないように、明確かつ直接的に表現できる
  • 相手の意見や感情を受け入れ、建設的な対話をする
  • 相手の話をよく聞き、理解しようとする姿勢を持つ

ノンアサーティブタイプ(自分を主張せず受け身に徹する)

ノンアサーティブタイプの人たちは、自分の意見や感情を抑圧し、他人の意見や要求に従順なコミュニケーションをとります。その特徴は、以下のとおりです。

ノンアサーティブタイプの傾向
  • 自己主張をしない
  • 自分の意見や感情を主張することをためらいがち
  • 他人の意見や要求に従順になりがち

周りとケンカしたくない、険悪な関係になりたくないために自己犠牲を選ぶ傾向があるのでしょう。そのため、自己表現ができない人と見なされ、周りの人から認められにくくなる可能性があります。

ここまで3つのコミュニケーションタイプを紹介してきましたが、いずれかが優れているというものではなく、自身の状況や目的、自身がどんな人間でいたいかという想いに合わせて、適切に選んでいくことが大切です。

アサーティブコミュニケーションのメリット

アサーティブコミュニケーションの特徴を紹介してきましたが、改めてアサーティブコミュニケーションを身に付けることのメリットを紹介していきます。

自分自身が得られるメリット

まずは、自分自身にとってのメリットを紹介していきます。より内面的な部分にフォーカスしてお伝えします。

  • 率直に自分の意見を主張できるようになる
  • 良好な精神状態が保てるようになる
  • 良好な人間関係を築くことができる

率直に自分の意見を主張できるようになる

アサーティブなコミュニケーションを身に付けると、自分の意見や感情を率直に、かつ、尊重しながら表現できるようになります。そのため、あやふやな返事や態度を取るなど不明瞭なコミュニケーションが原因で起こりがちな誤解を避けることができます。

良好な精神状態が保てるようになる

アサーティブなコミュニケーションは自尊心の向上に繋がります。

自身が求めることや感情を大切にすると、ストレスや不安が減るので、心が健康な状態で過ごせるようになります。精神的な疲れを感じやすい今の時代においては、心が健康であるとより一層の幸福を感じることができるはずです。

また、自分の意見を主張できるようになることで、自分の人生をよりコントロールできるようになり、自信や自己肯定感を高めることができます。

良好な人間関係を築くことができる

自身の考えと他者への尊重のバランスを取ることで、自然と相互理解と尊重が生まれます。そのため、より強く健全な人間関係を育む土壌となります。

相手に不快感を与えることもなく、自分の意見や感情を伝えることができます。そして、相手の意見や感情を尊重することで、相手とより深いレベルで理解し合うことができるでしょう。

チームや周りの人に与えるメリット

自身に対してだけでなく、チームや周りの人にも良い影響を与えてくれます。そのメリットを紹介していきます。

  • チームでのコミュニケーションが活性化する
  • チームの生産性が向上する
  • コミュニケーションロスを防止できる
  • 働きやすい職場環境を作れる

チームでのコミュニケーションが活性化する

アサーティブなコミュニケーションは、オープンな議論を促し、メンバー間でのアイデアの共有と創造性の流れを生み出します。

チームの生産性が向上する

チーム内でアサーティブなコミュニケーションが活性化すれば、チームメンバーが自分の意見やアイデアを積極的に共有できるようになっていきます。

そのため、色々な意見を引き出すことができ、より良い解決策が出てくることで、生産性が向上につながるでしょう。

コミュニケーションロスを防止できる

先に紹介したチーム内でのコミュニケーションの活性化や生産性の向上が、結果的に、仕事でありがちな認識の齟齬や仕事の重複などコミュニケーションロスを減らしてくれるでしょう。

働きやすい職場環境を作れる

相互尊重に基づくアサーティブなコミュニケーションは、職場においても良好な信頼関係と協力的な職場文化を育むことにつながり、その結果、メンバーのエンゲージメント向上につながっていきます。

アサーティブコミュニケーションができている職場は、心理的安全性が高い職場環境と言えるでしょう。

この段落のまとめ

ここまでいくつかのアサーティブコミュニケーションのメリットを個人やチームの両面から見てきました。いずれにしても、より良い人間関係や職場環境を作っていくためにも、アサーティブコミュニケーションを取り入れる必要はあるはずです。

では、この次の段落からは、どうすればアサーティブコミュニケーションを実践していけるのかをポイントを紹介していきます。

アサーティブコミュニケーションを身につけるためのポイント

アサーティブコミュニケーションを身につけるためには、まず4つのポイントを意識することが大切になってきます。

身につけるための4つのポイント
  • 自身にも相手にも誠実さを持つ
  • 自分自身に素直になる
  • 「自身の目線」と「相手の目線」を同時に持つ
  • 自己責任の意識を持つ

1. 自身にも相手にも誠実さを持つ

まずは誠実さを持つことです。まずは、自分自身に対しての誠実さということで、自分の意見や感情を隠さず、正直に伝えるようにしましょう。合わせて、周りの人に対しても誠実さを持ち、尊重するように意識しましょう。

2. 自分自身に素直になる

自分自身に素直になりましょう。適切なタイミングで適切な言葉を選び、はっきりと自己表現をすることが大切です。周りを気にしすぎず、でも攻撃的にならないように、自分の本音を伝えることが重要です。

3. 「自身の目線」と「相手の目線」を同時に持つ

相手も自分も同じ人間として尊重し合い、意見の押し付け合いではなく、相互理解を図ることが大切です。単純に「対等」と使うと誤解を生みやすいため、あえて見出しでのような表現を使っています。「相手の目線」を持たないと相互理解は図ることができません。

4. 自己責任の意識を持つ

自分の言動や感情は自分でコントロールするという自己責任を持つことが、アサーティブな態度を身につけるうえで欠かせません。他人のせいにせず、自己の行動に責任を持ちましょう。

アサーティブコミュニケーションは、日々のコミュニケーションの中で実践していくことで身につけることができます。上記のポイントを意識して、ぜひチャレンジしてみてください。

アサーティブコミュニケーションの実践に役立つ「DESC法」

アサーティブコミュニケーションを身につけるための4つの意識を紹介しましたが、次に紹介するのはいわゆるテクニックとなります。テクニックはさまざまありますが、その中でもこの記事で紹介するのは「DESC法」です。

DESC法とは、アサーティブなコミュニケーションを実践するためのフレームワークですが、具体的には次に紹介する「対話を構築する4つのステップ」からなるテクニックです。

「DESC法」とは

DESC法は、以下の4つのステップから構成されています。

DESC法の4ステップ
  1. Describe(状況を描写する)
  2. Explain(気持ちを表現する)
  3. Specify(提案する)
  4. Choose(代替案を提示する)

それぞれを深堀りしていきましょう。

1. Describe(状況を描写する)

Describeのステップでは、状況を客観的に、そして具体的に描写することを目指します。気を付けたいポイントとしては、相手に対しての単なる非難や評価ではなく、事実を述べることが大切であり、それが共通理解につながります。

2. Explain(気持ちを表現する)

Explainのステップでは、自分がその状況でどのような感情を抱いているかを説明します。ここでは、自分の感情をしっかりと伝えましょう。それによって、相手に自分の立場を理解してもらいやすくなります。

3. Specify(提案する)

Specifyのステップでは、起きている問題の解決のために、具体的な行動や解決策を提案します。明確で実行可能な提案をすることが求められます。

4. Choose(代替案を提示する)

Chooseのステップでは、相手が提案内容に同意しない時の備えとして、代替案を提示します。これにより、相手に譲歩の姿勢を示すことができ、やり取りを柔軟に進めることができます。

「DESC法」の具体例

では、具体的なDESC法の例をいくつか紹介していきます。

「DESC法」の具体例:①部下にミスを指摘する
DESC法例文
Describe(事実を客観的に伝える)先日提出した資料の表に、誤った数字が含まれていました。
Express(自分の感情や考えを明確に伝える)このままではお客様に迷惑をかけてしまう可能性があるので、今後は誤りがないように注意してください。
Suggest(具体的な解決策を提案する)資料を作成する際には、必ず内容を再確認するようにしてください。
Choose(相手に選択肢を与える)もしわからないことがあれば、すぐに相談してください。
「DESC法」の具体例:②上司に業務量の調整を依頼する
DESC法例文
Describe(現状の状況を客観的に伝える)最近、担当業務が増えすぎて、残業が続いています。
Express(自分の感情や考えを明確に伝える)体力的にも精神的にも限界を感じており、今後は業務量を調整していただきたく思います。
Suggest(具体的な解決策を提案する)もし可能であれば、担当業務を一部減らしていただけると助かります。
Choose(相手に選択肢を与える)もし難しい場合は、残業時間を減らしていただくことでも構いません。
「DESC法」の具体例:③同僚と意見が異なる場合
DESC法例文
Describe(相手の意見を正確に伝える)今回のプロジェクトの進め方について、私は○○という意見ですが、あなたは△△という意見ですよね。
Express(自分の感情や考えを明確に伝える)私は△△という意見に懸念点があるので、もう少し詳しく教えてもらえませんか。
Suggest(具体的な解決策を提案する)もし可能であれば、△△という意見を採用する代わりに、□□という対策を講じると、より良い結果につながるのではないかと思います。
Choose(相手に選択肢を与える)私の意見を受け入れてもらえない場合は、△△という意見を採用する代わりに、□□という対策を講じることを提案します。

DESC法はあくまでもフレームワークであり、状況や相手に合わせて柔軟に活用することが大切です。改めてですが、前の段落でお伝えした下記4つのポイントを意識しながらDESC法を活用してみてください。

アサーティブコミュニケーションを身につけるための4つのポイント
  • 自身にも相手にも誠実さを持つ
  • 自分自身に素直になる
  • 「自身の目線」と「相手の目線」を同時に持つ
  • 自己責任の意識を持つ

アサーティブコミュニケーションを身につけることで、良好な人間関係を築き、より充実した人生を送ることができるでしょう。DESC法を活用して、ぜひアサーティブコミュニケーションを実践してみてください。

全体のまとめ

アサーティブコミュニケーションの魅力と身に着けるためのポイントをお伝えしてきました。

自分自身と周りの人を同時に尊重することは、非常にバランスを取ることが難しいことではあり、身に着けることは簡単ではありません。ただ、一度そのバランス感覚を身に着けると人生を過ごしていく中で心が安定するはずです。

ぜひアサーティブコミュニケーションを身に着けて、充実した人生を過ごしてください。