マイクロマネジメントとは?部下に与える悪影響や具体的な改善方法を解説!

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マイクロマネジメントとは、部下の行動を逐一チェックし、細かく管理してしまうマネジメント方法です。

不適切なマネジメント方法は部下や組織に悪影響を与えてしまうこともあるため、当てはまっている方は改善が必要です。

しかし、マイクロマネジメントの改善が必要とわかってはいるものの、どういった行動が当てはまるのかわからない方も多いでしょう。

今回は、マイクロマネジメントに当てはまる行動や、与える影響、改善方法などを詳しく解説します。

マイクロマネジメントとは?

マイクロマネジメントとは、簡単に説明すると部下に対して「過干渉のマネジメントをすること」を指します。部下の行動すべてを細かくチェックしたり、細かな指示を出したりすることが当てはまるでしょう。

ここ最近では「パワハラ」といったワードが話題を集めていますが、過干渉のマネジメントが部下のメンタルに負担を与えることになり、精神に支障をきたして上司が訴えられるケースもあるのです。

必ずしもマイクロマネジメント=パワハラとはなりませんが、そのきっかけにマイクロマネジメントが関係しているケースも多いため、部下に過干渉になりやすい方は注意しなければなりません。

マイクロマネジメントが増えている理由とは?

そもそもなぜ今になってマイクロマネジメントが話題になっているのでしょうか。

ここではマイクロマネジメントが増えている理由について紹介していきます。

テレワークの普及

日本ではそれほどテレワークが普及していませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、企業はテレワーク環境を用意せざるを得なくなりました。また、日本政府からの要請などもあったため、急速にテレワークが普及したのです。

テレワークは出社の必要もないため、便利な働き方のように思えますが、マイクロマネジメントに関しては増えやすい傾向にあると言えます。

従来であれば同じオフィス空間に部下がいたため、いつでも様子を確認することができたり、すぐに指示を出せたりする環境が整っていました。しかし、テレワークになると自分が確認できない範囲に部下がいるため、「在宅でもちゃんと仕事をしているだろうか?」「随時チェックできるようWeb会議システムのカメラをオンにさせよう」などといった過度に干渉してしまうケースが増えやすくなるのです。

特に部下がきちんと仕事をこなしているか気になってしまう人は、知らず知らずのうちに監視に近い行動をとってしまう可能性が高くなり、マイクロマネジメントにつながりやすくなってしまいます。

人材の多様化

人材の多様化もマイクロマネジメントが増えている理由の一つです。

現在では中途採用者の増加や、さまざまなバックグラウンドや年代の部下を持つ機会が増えています。また、国籍の異なる社員や、子育てと両立しながら働く時短勤務の社員やフレックスタイム制で働く社員も増加しています。

このような人材の多様化は、世の中にとってメリットのあることですが、コミュニケーションが取りづらくなるといったデメリットがあります。

例えば「〇〇さんには伝わっているものの、△△さんには伝わっていない」といった現象が起こりやすくなるため、情報が共有されていないことを防ぐために、一人ひとりの行動を細かくチェックする行動が増えやすくなっているのです。

仕事量の増加

仕事量の増加には様々な原因がありますが、その中でも多いのが人材不足です。

慢性的に人材不足な企業や部署の場合、自然と一人ひとりが対応しなければならない仕事が増えます。

万が一、従業員ひとりの業務が滞ってしまうと、部署全体に与える影響が大きくなるため、自分の指示通りに仕事を進めさせようとするケースもあります。

なぜ部下にマイクロマネジメントをしてしまうのか?

そもそも意識的に「マイクロマネジメントをしよう」と思っている人はほとんどいないはずです。

では、なぜ部下にマイクロマネジメントをしてしまうのでしょうか。ここではその理由について3つ紹介します。

不安な気持ち

マイクロマネジメントにつながるものとして、最も多いのが「不安な気持ち」です。上司という立場上、業務を監督する責任があるため、万が一ミスが発生すると全て自分の責任になってしまうといった不安を感じてしまう方は少なくありません。そういった不安から、しっかりと部下をチェックし、管理しようといった気持ちが出てしまうのです。

不安な気持ちから過度な干渉につながりやすくなる例としては、「自分宛ではないメールなのに、必ずメールのCCに自分を入れるよう義務付ける」行動や「テレワークにおいて頻繁に現状報告を求めるよう指示する」行動などがあげられます。

これらは全て不安な気持ちから出てくる行動であり、その気持ちが自然とマイクロマネジメントに当たってしまっているケースもあるのです。

自己顕示欲が高い

自己顕示欲が高い人も、マイクロマネジメントにつながる行動をする傾向にあります。

例えば自分の能力を部下にアピールするために「部下に過剰な指示を与える」ことや「自分がしている方法を強要」することは、自分自身を誇示するために行う行動とも言えます。

自己顕示欲が高く、それを満たすための行動が多くなればなるほど、部下からの信頼はなくなってしまいます。

自分自身をよくアピールし、「私のようにやってみろ」と強要している人は、自然とマイクロマネジメントに繋がりやすくなるので注意が必要です。

適切なマネジメント方法を理解していない

「上司は部下を徹底的に管理することが仕事である」と思われている方は、マイクロマネジメントにつながってしまう可能性が高いでしょう。

マネジメントは、部下の行動を把握したり、監視したり、自分が思った通りに行動してもらったりする仕事ではありません

マネジメントについて誤解をしているケースもあるため、まずは理解を深めることが、マイクロマネジメントの改善のためにも重要と言えるでしょう。

マイクロマネジメントの具体的な例

マイクロマネジメントをしてしまう原因は主に3つありますが、その具体例として4つの特徴について紹介します。

態度が大きくなったり口調が強かったりしている

1つ目の特徴として、部下への態度が大きいことや、口調が強いなどがあげられます。

例えば部下を従わせるための高圧的な態度や、言葉遣いが明らかに上からといった行動は、部下にとって恐怖心を抱く原因の一つとなり、無理にでも従わざるを得なくなります。

このような態度を取りやすい人は、「あなたより自分の方が立場が上だ」とアピールしたい人に多いため、注意しなければなりません。

マイクロマネジメントの中でも悪質な分類に入り、最悪の場合はパワハラなどで訴えられるケースもあるため、当てはまる人はできる限り早めに改善しましょう。

相手の考えを尊重しない

2つ目の特徴は、相手の考えを尊重しないことです。具体的には「部下の考えよりも自分の考えの方が圧倒的に正しい」と思うあまり、価値観を押し付けてしまっているケースです。

確かに部下の意見が間違っていることもあるかもしれませんが、かといって自分の意見が必ず正しいとも限りません。

部下の考えを尊重しないと、「上司に何を言っても否定されるから何も言わない」といった成長を妨げる原因となったり、真っ向から否定することでモチベーションの低下につながったりとさまざまなデメリットがあるので、考えを改める必要があります。

このように、自分の価値観ばかりを押し付けてしまっている人は、マイクロマネジメントにつながりやすい傾向にあるため注意しましょう。

部下への指摘ばかりしている

3つ目の特徴は、減点主義的な発想に陥っているケースです。具体的には部下への指摘ばかりし、特にミスばかりを責め立てる行動は、典型的なマイクロマネジメントと言えるでしょう。

状況によっては問題を指摘することは大切なことです。しかし、部下の良い部分はスルーし、ミスを探してその部分だけを指摘する行動は、部下のモチベーションを低下させる原因の一つとなってしまいます。

何をしても肯定されず、否定ばかりされると人は萎縮してしまいます。部下を成長させるための行動と思って指摘している方もいますが、良い部分は褒めることも忘れないよう配慮することが大切です。

権限移譲した仕事にも干渉してしまう

4つ目の特徴は、不安な気持ちが強すぎて、権限移譲した仕事にも過度に干渉してしまうことです。

例えば部下がクライアントにメールを送る際、心配だから自分をCCに追加するよう要求したり、上司が関係のない部下に送られてくるメールの内容を随時確認したりする行為もマイクロマネジメントです。

部下としては「自分が任されている仕事であるにもかかわらず、上司が細かくチェックするから自分の思うような仕事ができない」といった状況になってしまい、成長の機会を妨げてしまうケースがあります。

「任せた仕事をちゃんとできているかな」と心配に思う気持ちはわかりますが、任せた以上、過度に干渉しないよう注意することが大切です。

マイクロマネジメントが与える悪影響とは?

マイクロマネジメントは、何もしない部下に対してはメリットに働くケースもあるでしょう。

しかし、どちらかと言えば悪影響に働く部分が多く、デメリットの方が多いと言えるでしょう。

長期化することで、部下や組織においても悪影響を及ぼす危険性があるので、マイクロマネジメントに当てはまる方は早めの改善を心がけましょう。

部下のモチベーション低下につながる

マイクロマネジメントは、している側としては細かく管理ができ、細かなことまで指示を出せるので安心感につながるでしょう。

しかし、されている側としては苦痛の種となります。例えば「指示した仕事はどこまで進んだか」とか「完了した仕事に対して小さなミスでも細かく指摘される」といった状況が続くと、誰でもモチベーションは低下してしまうでしょう。

部下としては伸び伸びと仕事をできる環境ではなくなっているため、「上司から信頼されていないな・・・」など、気持ち的にも落ち込んでしまい、仕事に対する意欲がなくなってしまうのです。

自分では動けない部下になってしまう

マイクロマネジメントが行われている状況下では、部下は自分から動くことがなくなります。なぜなら自ら進んで行動することで、上司に細かく指摘されたり、怒られたりするからです。

率先して動いても褒められることがなく、どちらかと言えば指摘されるだけなので、指示待ちをした方が上司から喜ばれるのではないかという感覚になってしまうのです。

マイクロマネジメントをする側としては、指示通り動いてくれた方が心配要素がないため、安心感を得られるでしょう。しかし、される側の部下は、今後も自分で考えて行動することがなくなり、常に指示待ちの状態で成長を妨げることになります。

組織としても仕事効率が悪くなり、生産性が上がらないので部下にとっても組織にとっても悪影響を与えてしまうのです。

成長機会の損失

マイクロマネジメントの悪影響は、部下の成長の機会を止めてしまうことです。何をやるにしても干渉され、上司の了承がないと次に進めないため、自己判断ができなくなってしまうからです。

例えば新たな商品を開発するプロジェクトで、何を工夫すれば売れるのかなどのプロセスで部下が悩み、判断が遅いと不安になった上司が指示を全て出してしまったらどうなるでしょうか。それは、部下ではなく、上司が考えたアイデアとなるため、たとえ成功したとしても部下の成長にはつながりません。

本来は時間がかかったとしてもそのプロセスを部下が考えることで成長につながります。その機会を上司が奪うことにつながるため、結果として成長を妨げてしまいます。また、成長できないことによりマネジメントにも手間がかかるようになるため、自分自身を苦しめることにもつながってしまうのです。

メンタルへの影響

マイクロマネジメントをする方は、部下に対して厳しい指示や、自分の目の届く範囲で管理や監視してしまう傾向があります。

部下としては「常に上司に監視されているからやりづらい」と感じたり、「常に顔色を伺う必要があるため、気が張った状態で疲れる」などストレスを感じたりすることもあるのです。

ストレスは心身の不調につながりやすいとも言われており、体調が優れずに休職してしまうケースや、最悪の場合は退職に追い込まれてしまうこともあります。

それだけマイクロマネジメントが人に与える影響は大きなものとなるため、過度な干渉は控えるよう注意しなければなりません。

最悪の場合は裁判などに発展するケースもあり、重大な問題として取り上げられるケースもあります。

企業としても、マイクロマネジメントの状態が続くことで人手不足になったり、業績の悪化につながったりするケースもあるので、当たり前のようにマイクロマネジメントが行われているなら早めの改善をしなければなりません。

マイクロマネジメントを改善する方法

マイクロマネジメントは、される側や組織としても悪影響を受けることが多いため、もし当てはまっている可能性があるなら改善しなければなりません。

しかし、具体的な改善方法がわからない方も多いでしょう。実際に知らず知らずのうちにマイクロマネジメントをしてしまっている方もいるため、ここでは社内で日頃から気をつけるべきポイントについて紹介します。

部下の良いところを探す

マイクロマネジメントを改善するための方法の一つに「部下の良いところを探す」ことがあげられます。

実際にマイクロマネジメントを行いがちな人は、部下の良い部分ではなく、部下のダメな部分を探してしまう特徴があります。

癖となって抜けない部分かもしれませんが、ダメな部分ではなく良い部分を探す努力をすることで、部下に対する信頼が増し、結果的にマイクロマネジメントを改善することができます。

思い込みはなくす

部下に対して「このくらいはできて当たり前だ」という気持ちを持っている方はいませんか?このような思い込みは、マイクロマネジメントにつながりやすくなります。

人はそれぞれ異なるスキルや経験を持っていますし、得意なことがあれば不得意なことも一人ひとり異なります。そのため、「部下全員がこのくらいのことはできて当たり前」と一律にできることを期待するのはよくありません。

固定観念は時に「なぜこんな簡単なことができないんだ」と強く部下を指摘してしまう原因の一つとなります。思い通りに物事が進まないことも当たり前のようにあるため、改善するためにも思い込みをなくすことが大切です。

報告のタイミングをあらかじめ決める

「部下の行動一つひとつが心配だ」という方は、心配のあまり過度な管理、監視をしてしまいがちです。

心配な気持ちを抑えるためには部下を信頼することが大切ですが、すぐにそういう気持ちになれない方は、報告のタイミングをあらかじめ決めておくなど少しずつトレーニングをしましょう。

例えば部下に「何か行動するたびに報告をしてほしい」と伝えている場合は、1日に1回のみ報告してもらうようタイミングを決めます。そうすることで過干渉になりすぎず、適切なタイミングで報告をしてもらえるといった安心感にもつながり、改善できる可能性があります。

報告のタイミングをあらかじめ決めておくことは、部下にとってもスケジュール管理がしやすくなるため、仕事の生産性が上げられます。上司としても自分自身の仕事に集中できるメリットがあるので、どちらにとっても利点があると言えるでしょう。

部下との信頼関係を築く

部下との信頼関係を築いていないと、「部下の意見は取り入れない」といった気持ちが強くなり、自分が全て正しいと思い込みがちです。

このような信用できないといった気持ちを改善させることも、マイクロマネジメントにならないために重要なポイントとなります。

信頼関係を築く方法の中でも、最も手っ取り早いのが部下とのコミュニケーションを積極的に取ることです。

そして、「部下の意見には大した案がない」と思い込まず、しっかりと耳を傾けてなるべく意見を取り入れましょう。もし、「自分が考えている意見とは異なるため、100%は取り入れられない」と思っても、そのうちの50%は取り入れ、残りの50%は自分でアレンジするなど工夫することで部下も嬉しい気持ちになるでしょう。

チームや組織みんなで適切な答えを導き出そうといった姿勢は、部下を成長させ、仕事にとっても良い方向に進みやすいので、信頼関係を築き上げられるような取り組みを積極的にしてみてください。

自分自身の不安を解消する

マイクロマネジメントを行ってしまう人は「不安」が大きく関係しています。自分自身が責任を負いたくない、上層部から怒られたくないといった気持ちから、マイクロマネジメントにつながってしまうこともあるのです。

あくまでも上記の内容は例となりますが、人それぞれ何かしらの不安を抱えており、その気持ちが強いほどマイクロマネジメントを行いやすいため、まずは自分自身が抱えている不安を解消することが大切です。

不安が解消されれば心にも余裕が出てきて過度な干渉をしようとは思わなくなるため、自分自身を見つめ直すことも改善のためには重要です。

部下を見守る意識を持つ

マイクロマネジメントを改善するためには、部下を見守る意識を持つことも大切です。例えばあるプロジェクトを部下に任せたら、全てに干渉するのではなく、部下が成功できるよう必要な資料や方法などを教えて、あとは見守ることが得策です。

「部下の失敗は自分の責任につながる」といった意識を持ち続けると、自然とあれもこれも指示したくなり、結果的に上司がプロジェクトを進行しているのと変わらなくなります。

それでは部下が成長することはなく、上司としてのマネジメントが増える要因にもなってしまうのです。

基本的には部下が悩んでいなければ上司は干渉しないことが得策なので、細かく何度も指示してしまいがちな人は、部下を見守ることを意識したマネジメントを行ってください。

まとめ

マイクロマネジメントは、時にプラスに働くこともありますが、基本的には部下や組織に悪影響を与えやすいものとなるため注意が必要です。

細かく管理し、過干渉することで、部下のモチベーションの低下や主体性がなくなること、信頼関係も損なって組織全体のパフォーマンスも悪化させる要因の一つとなります。

もし今回紹介したマイクロマネジメントの具体例に当てはまっている方は、早急に改善することが大切です。自分自身が改善できれば組織全体のパフォーマンスも向上させることができ、良い方向へと進みます。

この記事ではマイクロマネジメントから脱却する方法も紹介しているので、当てはまる部分の対策をしながら徐々に改善させていきましょう。